製品概要「Ultimate Ears Triple.Fi 10 Pro」
Ultimate Ears社は1995年に設立され、プロがステージなどで使用するカスタムイヤホン(耳型を取ってオーダーメイドする)を発端に急成長したメーカーです。現在、日本国内では、既製で買ってすぐに使える「Fi シリーズ」のみが発売されています。音質面でも、一般ユーザーが音楽を楽しむ事を想定されているようで、オーディオプレーヤーとの相性も期待できそうです。
今回ご紹介する「Triple.Fi 10 Pro」(販売元ロジクールWEBでは「TripleFi 10」と表記され、2009年3月にリリースとなっている)は、現在発売中の「Fi シリーズ」最上位モデルで、Ultimate Ears社の実力を知るのに適したモデルと言えるでしょう。
まず、音を出す仕組みと特徴
音を出す部分であるドライバーには、補聴器から始まった技術であるバランスドアーマチュアを採用しています。 実はこのバランスドアーマチュアドライバは、その動作原理上、超小型で高域の繊細な音を再現するのが得意な一方、低音の力感が出せません。そこで、「Triple.Fi 10 Pro」では、バランスドアーマチュアドライバを高域用に1基、低域用に2基の合計3基とし、低域の増強を図っています。 この構成は、高級カナル型にみられる手法で、他メーカーでは「SHURE SE530」などが有名です。
低域から広域までの再生に適した、バランスドアーマチュアドライバ採用の高級カナル型イヤホン。音質面で期待が高まります!
肝心の音質~ドラムのパンチ力が印象的
さすが、3基のバランスドアーマチュアドライバを使っているだけあって、低音の力強さは、カナル型イヤホンで最高峰と言えるでしょう。傾向としては、柔らかい空気感をよりも、バスドラムのパンチ力が印象的で、ロック系の音楽は雰囲気満点です。ジャズ系も、低価格オーディオでは正確な再現が難しい、ウッドベースが奏でる、低音域の微妙な音程を見事に鳴らし分け、気持ちよくリズムを楽しめます。ただ、パンチ力があり過ぎてか、普段、あまりロック系の音楽を聴かない筆者鴻池の耳には、すこし「ゴツゴツ」した印象を受けます。
ヴォーカルなどの中音域の艶、高域の情報量の多さは、比較検討の対象として有力な「SHURE SE530」と並んで、高級イヤホンに相応しい仕上がりです。また、高域が耳障りになることもないので、どんなジャンルの音楽も、高品位に、そして気持ちよく安心して聴く事ができるでしょう。