しかし、実際にFXをやっている人であれば、ハイレバレッジの方がロスカットに遭いにくいため、安全度が高い、ということがわかると思います。
2010年8月にはレバレッジ規制で50倍まで、2011年からは25倍までに規制されます。
私は、この規制によって、ますますロスカットの憂き目に遭う人が増加するのでは、と危惧しています。
数字を使って説明しましょう。
FXの口座に10万円を入金したとします。
そして、ドル円で1万通貨単位、つまり1万ドルの取引をしました。
取引に必要な証拠金(これを取引証拠金と呼びます)は、レバレッジ25倍の場合が4万円、レバレッジ50倍の場合が2万円、レバレッジ100倍の場合が1万円とします。
そして、ロスカットになるのは、損失が取引証拠金の額を下回った場合だとします。
レバレッジ25倍だと、取引証拠金で4万円が使われますから、余力は10万円-4万円=6万円です。
つまり、6万円分の損失まではロスカットされませんが、損失が6万円を超え、取引証拠金の4万円に食い込むと、自動的に強制ロスカットされます。
1万通貨単位の取引ですから、為替レートが1円動くと、1万円の損益が発生します。
つまり、耐えられる為替レートの動きは6円までです。
82円でドル円を買ったら、76円を下回るとロスカットです。
レバレッジ50倍だと、取引証拠金で2万円が使われますから、同じ計算で余力は8万円。つまり、8円の動きまで耐えられます。
上記と同様の場合、74円を下回ったらロスカットです。
レバレッジ100倍だと、余力は9万円ありますから、73円までは耐えられます。
つまり、レバレッジが高い方が、損失に耐える余力が大きくなり、一時的に含み損を抱えても、相場が回復すれば(の話ですが)、ロスカットされるどころか利益を出すこともできるのです。
私自身、最近の取引では、ポンド円を10月下旬に128.5円で買いましたが、その後126円台まで下がったため、含み損が大きく膨らみました。通常ならばここでロスカットされていたでしょう。
しかし先週末、会社で仕事をしている間に131,5円で約定していました。(指値を設定していたからです)
1万通貨単位で3万円の利益となるわけですが、私は数十万通貨単位でポジションを持っていたので、大きく利益を取ることができました。
ロスカットを免れ、相場が回復するまで耐えられ、その後利益を出せるのは、レバレッジを高くしておいたおかげです。
同様の方法で、大きく下げていたカナダドル円、NZドル円でも利益が出ました。
ついでに言うと、先ほどのポンド円ですが、128円を割り込んだ際に、「売り」を入れて126.5円で決済の指値を入れていたので、「売り」も「買い」も往復ビンタで儲かりました。
これを「両建て」というのですが、下落局面で売りを持てたのも、ハイレバレッジで投資余力があったおかげです。
しかしながら、レバレッジが高いということは証拠金が安いということですから、万一ロスカットされたら、残るお金も少なくなり、再起に時間がかかることになります。
上記の例では、レバレッジ100倍でロスカットされたら残高は1万円だけれども、25倍なら4万円は残る、ということです。
重要なのはポジション管理
FXで最も重要なのは、レバレッジではなく、ポジション管理です。
つまり、預け入れた金額に対し、どのくらいの量のポジションを張っているか(取引をしているか)を管理し、為替レートがいくらまでなら動いても大丈夫か、を把握しておくことです。
上記の例で、レバレッジ25倍なら、2万通貨単位の取引をしたら、取引証拠金で8万円も使ってしまい、余力が2万円分しかありませんから、それ以上は取引できません。
2万通貨単位持っていたら、為替レートが1円までは動いても大丈夫です。
しかしレバレッジ50倍なら、取引証拠金が2万円なので、理論上は5万通貨単位までの取引ができますし、100倍なら、10万通貨単位の取引ができます。(実際にはそこまではやりませんが)
50倍にして4万通貨単位持っていたら、50銭動くとロスカット。100倍にして9万通貨単位持っていたら、わずか12銭動くとアウトです。
そうです。ハイレバレッジならたくさん取引できるからと調子に乗って、一度に大量のポジションを持ってしまうと、為替がちょっと動くだけで飛んでしまうのです。
このように、レバレッジが問題なのではなく、ポジション管理ができていないことが問題なのです。
つまり「レバレッジが高いのは危険」「初心者はレバレッジを低くするべき」「レバレッジ規制はFXが健全になる」、というのは、まともにFXをやったことがない人のセリフではないでしょうか。
あるいは、レバレッジのことを、損益の振れ幅の大きさだと勘違いしているのかもしれません。レバレッジの倍率と損益の大きさは関係ないのです。
1万通貨単位を売り買いすれば、レバレッジが1倍であろうと400倍であろうと、1円動くと1万円の損益が発生するのはどちらも同じです。
本来、規制するならば、預け入れ資金に対して何パーセントまでの証拠金使用率にとどめる、ということのほうが有効なのであって、レバレッジ規制は実は本質的な問題解決ではないということです。
ではなぜレバレッジ規制が行われたのでしょうか?