交通の拠点を再開発、
駅前にはタワーに駅前広場、ホールなどが
駅南口、ペデストリアンデッキの下にはバスロータリーが作られた。西武新宿線を経由して吉祥寺など中央線沿線へ向かうバスもここから発着
住宅街の話は知る人ぞ知るといった内容ですが、もう少し多くの人に知られているのは、駅周辺の再開発でしょう。大泉学園は東武東上線朝霞、成増などと中央線吉祥寺、阿佐ヶ谷などを南北に結ぶバス便の中継地点に当たり、1日の発着本数が1000本を越える交通の拠点。また、練馬区内でも練馬駅に次ぎ、約8万人を越す乗降客数のある駅なのですが、再開発が行われるまでの駅周辺は道路が細く、商店などが密集しており、バスターミナルも未整備で、常に踏み切り渋滞が起きているような状態でした。
左側に見えているのが上部がマンションになったタワー。線路を挟んでは区民ホールのある10階建ての建物がある。右側に見えるのは民間が分譲したタワーマンション
そこで、駅の南に10階建ての商業、業務中心のビル、北に住宅を含むタワーを建設、駅前広場を作るなどの再開発が行われ、平成13年から3年がかりで駅周辺が生まれ変わりました。ゆめりあと名づけられた2つの街区には飲食店街に店舗、スーパー、区のホール、住宅、駐車場などが入っており、駅周辺の利便性は大きくアップ。それに伴い、以降住宅開発も増加しています。
アニメ発祥の地では
バス通りの桜並木も名物
撮影所周辺ではアニメキャラを中心にしたイベントも開かれる。が、私にはキャラそのものが分からない……
大泉学園といえば、アニメの街を標榜する練馬区の中でも最大のスポット、東映撮影所のある街でもあります。駅にはこの街在住の漫画家、練馬名誉区民でもある松本零士さんの人気漫画「銀河鉄道999」のキャラが置かれていますし、商店街にもアニメキャラがあしらわれています。
東映撮影所に隣接したショッピングセンターは建設当時、照明計画の斬新さで話題になった
また、駅北側の撮影所周辺には大型ショッピングセンターLIVINオズ大泉、シネコンなどの入ったスタジオシティなどがあり、いつも賑わっています。撮影所周辺ではアニメファンのためのイベントも開催されているそうで、好きな方なら楽しい場所でしょう。
地元出身のシェフが地元で開いた行列のできるケーキ店。わざわざ買いに来る人も多い
最近では周辺に大型店の出店も相次ぎ、駅からのオズ大泉間の道路沿いには店舗も増えました。中には行列のできるラーメン屋さん、ケーキ屋さんもあり、取材に訪れた日も多くの人が並んでいました。この通りや関越道の大泉インター前の目白通りなどは並木のきれいさも印象的です。
大泉学園の桜並木。若木も成長、ようやくトンネルらしくなってきている
もうひとつ、地元で有名なのはバス通り、白子川沿いの桜並木です。バス通りの並木は1970年代に光化学スモッグの影響か、ずいぶんダメージを受けていましたが、その後、若木が植えられ、季節には桜のトンネルになります。ただし、バス通りと言いながら、大泉学園駅周辺の通りはガードレールなどはあるものの、道幅が細く、大型車のすれ違いにぎりぎりな場所も。今後の整備が期待されるところです。
農地、牧場に家庭菜園、
緑、自然が身近にある街
大泉の自然という意味では欠かせないのが、この地に自宅を構えた植物学者牧野富太郎。跡地にある記念庭園には多種の植物が植えられている
桜以外にもこの街には自然、農地が多く残されています。自然では白子川の湧水で発見されたホトケドジョウや、区内屈指のカタクリの群生地があることなどから、地下水の清冽さが分かります。寺社や公園はもちろん、住宅街の中にも巨大な欅や竹やぶが残されており、街の写真を撮るとどこかに必ず緑が入るほどです。
白子川沿いにあるJA東京あおばの直売所。最近は地元の野菜を使った餃子が人気商品だとか
農業ではかつては練馬大根が名物でしたが、今はキャベツが中心。最近では苺やブルーベリーも増えており、観光農園もあります。また、白子川沿いには23区内唯一と言われる牧場も残されており、ここで作られるアイスミルクは地元の名物。区の小学生が酪農体験に訪れたりもします。近くにはJA東京あおばの直売所もあり、新鮮な野菜、花卉類などが手に入ります。
練馬区は区民農園というシステム導入では先進的な自治体。区内には多数の農園があるが、人気で抽選になることもしばしば
農業では区民農園、市民農園が多いのも練馬区の特徴。大泉学園でも駅のすぐ近くに広大な区民農園があります。最近では農家が開設、利用者に農業指導を行う農業体験農園も増えており、23区でもっとも土に親しむ暮らしができる街といえます。
最後に
西武池袋線大泉学園の住宅事情を見ていきましょう。