MRの転職/MRの仕事

女性MRが働きやすい製薬会社とは

女性MRが長く働けるように、既婚女性MRに対しては転勤の配慮をする会社や、出産後の職場復帰を支援する会社も現れてきています。男女差を感じさせないような企業文化を持つ会社もあります。また、いったん退職した後にMRに復帰できやすいスキルを身に付けられるような会社も出てきました。今後はパートタイムMRなど、女性MRのワークライフバランスを考慮した就業形態の多様化が進むことが予想されます。

高橋 俊夫

執筆者:高橋 俊夫

MRの転職ガイド

女性MRの就業状況

女性MRの数は年々増えてきていますが、2014年3月現在で全MRの13.8%(9,089名)に過ぎず、まだ少数派だといえます(公益財団法人MR認定センター調査)。2000年代に入ってから新卒採用では女性MRの比率が高まり、2005年頃からは女性MRが4割を超えるようになりました。それにもかかわらずMR全体の中で女性の比率がそれほど高まらないのは、結婚や出産などを機にMRを辞めてしまう女性が多いからだと考えられます。

女性MRのみなさんからの転職相談では、ほとんどが「女性が働きやすい会社」を転職の希望条件に挙げています。このことからもMRを長く続けていきたいという意欲の高い女性は多いのに、製薬業界の環境がそれに追いついていないという実態が浮かんできます。

女性MRにとって働きやすさの条件とは

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既婚女性MRの転勤に配慮する会社も

MRは転勤が多く、朝早くから遅い時刻まで勤務する場合も多い仕事です。転勤の多さは結婚後に夫との同居を困難にする要因となり、出勤が早く帰宅が遅くなる点は小さな子供を保育園などに預けて仕事をすることを難しくしています。そのため女性MRが働きやすい会社の条件としては、第一に既婚女性MRに対する勤務地の配慮と出産後の職場復帰へのサポートが挙げられます。

また、女性MRは結婚したら辞めるのが当たり前といった雰囲気の会社や、女性MRは勤務年数が短いから重要な担当先は任せられないといった偏見を持つ管理職が多い会社もまだかなり見られるようです。こうした点ももちろん女性MRの働きやすさの障害となっていますので、女性が活躍しやすい社内環境づくりに積極的かどうかという点も重要です。

女性が働きやすい製薬会社の見分け方

社内の雰囲気や管理職の意識などは外部からは判断が難しいため、その会社のMRに聞いたり、転職相談で多くのMRから話を聞いている人材紹介会社のキャリアコンサルタントに聞くのが参考になります。その際にも、なるべく客観的な情報を確認するようにしましょう。たとえば女性管理職の有無や人数です。

2014年3月時点で、女性管理職は製薬会社全体で125名(全管理職の1.4%)しかいません。女性管理職の有無や人数は女性が活躍できる風土か否かを判断する参考になります。また、正確な人数を確認することは難しいですが女性MRの退職者数や勤続5年以上の女性MRの数なども判断材料となります。ちなみに女性MRのうち勤続5年以上は45%程度、勤続10年以上は11%程度しかいません(2014年3月時点。MR認定センター調査)。

女性が活躍しやすい社内環境づくりへの取り組みは、製薬会社のWEBサイトの記事も参考になります。たとえばノバルティスファーマ株式会社ではダイバーシティ&インクルージョンという活動を通して、女性MRの悩みや解決策の共有、女性MRどうしのネットワーキング機会づくりを進めるなど、女性MRを支援する具体的な活動を行っていることがわかります。

意欲的な既婚女性MRに対する転勤への配慮

MRの個別事情に応じて転勤に配慮することは、組織運営上の大きな制約となります。そのため女性MRの働きやすさを高めるためといっても、なかなか各社ともそこまでは踏み切れないのが実情。そうしたなかで既婚女性MRに対して転勤に配慮する会社は、本気で女性MRの働きやすさを高めようとしているといえますね。

そうした取り組みが見られる会社としては日本イーライリリー株式会社が挙げられます。日本イーライリリーでは、特段の事情がある社員を対象とする勤務地希望申告制度があり、その中で一定の要件を満たした意欲的な既婚女性MRに対しては、夫と同居するために転勤に配慮するという制度があるようです。
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