出産後の女性MRに対する職場復帰支援

ここでも日本イーライリリーの取り組みは目を引きます。日本イーライリリーのダイバーシティプログラムを見ますと、育児休職とセットでリリーフMR制度とダブルカバーという制度が見られます。

リリーフMR制度とは、職場復帰する際には休職前の担当エリアに戻れるようにすることでスムーズに復帰できるようにする制度。ダブルカバーとは、担当エリアを二人でカバーすることで仕事の負担を軽減するという制度です。いずれも出産後の女性MRの職場復帰を本気で考えていることが伝わってくる制度ですね。

女性MRが働きやすい企業文化

ノボ ノルディスファーマ株式会社は、日本イーライリリーやノバルティスファーマのように特別な女性MR支援策は見られないようですが、女性MRが働きやすい雰囲気はかなりあるようです。ノボ ノルディスファーマはデンマークを本拠地とする製薬会社。北欧各国は男女同権意識が世界で最も進んだ地域だといえますが、そうした本国の企業文化が日本法人においても色濃く現れているようです。

女性MRの再就職力を高められる製薬会社

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MRへの復帰力を高められる会社も

女性MRが結婚・出産などで退職して2年、3年とMR職から離れてしまうと、その間に新たな薬が開発されたり後発品が発売されるなど薬物治療現場の状況が変わる場合も多く、MRとして再就職することは難しくなります。そうした場合に備えて、再就職できやすいスキルを身に付けられる会社があれば、それも女性MRにとっては良い環境だといえます。

そうした取り組みは先進的なCSO企業(Contract Sales Organizasion:MR派遣およびMR業務受託企業)に見られます。たとえば、クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン株式会社。知識研修と実務経験とによって製薬会社からニーズの高い複数の領域でMRとしてのスキルを高めることにより、出産などでMRとしてのキャリアが中断しても、コントラクトMRとして再びMRに復帰しやすいようなキャリアディベロップメントプログラムを作り上げています。

今後の展望

就業時間が長く転勤も多いMRという仕事の特徴を考えると、今後も結婚・出産で退職する女性MRの数は急に減少するとは思えません。政府が推し進める医療費抑制政策のなかで、今後は製薬会社も生産性の向上が急務です。こうした状況から考えれば、退職した女性MRを対象に、ワークライフバランスを考慮しながら比較的人権費を抑えられる就業形態が普及していく可能性は高いと考えられます。すでに先進的な外資系製薬会社では、パートタイムMRを導入している例も見られます。

就業形態の多様化が進めば、女性MRにとっては結婚や出産を経験しても仕事を継続しやすい環境は確実に高まるといえます。ただ、医療用医薬品の激しい競争状況は変わることはないでしょうし、家庭と仕事の両立は決して簡単なものではないと思われます。そうした覚悟を持って仕事に取り組むことも、女性がMRという仕事を続けていくには不可欠の要素だといえるでしょう。


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