糸くずさえも大切にする暮らし
お家の片隅にあった古い引き出しの中を見せていただいたら、こんなものが!
ガイド え? これ、糸くずですか? こんなに沢山。
塩山 糸や布のかけらも、元がいいものだと、捨てられないんですよ~。大事にとっておいて、こんなものにリメイクしたり。
きれいな色の糸くずがいっぱい。捨てずにリメイク素材に
ほんのわずかな面積の布どうしを縫い合わせて作ったカードケースや、糸くずを固めてフェルトのように縫いとめたワッペン状のもの。それをさらにはぎ合わせて作ったコースター。普通は捨てるようなモノから作られているのに、色の取り合わせの美しさに、思わず見とれてしまいます。
塩山 昔、染色作家のデザイナーと一緒に服作りをしていた時期があったんです。布を草木や染料で何度も染め重ねるという、膨大な手間をかけた布を使ってね。その色の美しさ! 糸として、布として使えないほど小さななけらになってしまっても、捨てられない。いつの間にかこんなものを作るようになりました。
糸くずを固めて縫いまとめたコースターと、端切れで作ったカードケース
塩山さんのライフワークの柱の一つ「縫いもの」の多くは、こんな不思議なリメイク作品で成り立っています。使い込まれた布や愛着ある糸に、一針ひと針、新しい命を吹き込む。ワークショップで披露するリメイクのワザに、「どんどん買ってどんどん捨てる」に疑問に抱く人たちが夢中になるそうです。