保健室で会った人なの
ガイド:
突っ込まないといけない曲があります。P-MODELが「美術館で会った人だろ」と男目線の歌ったのに対して、アーバンギャルドは「保健室で会った人なの」は女子目線で歌っていますね。思へば、この時期のP-MODELはテクノでパンクでした。よこたんのいつも芸風にないパンクな(青春パンクじゃないよ)ヴォーカルが素敵です。
松永:
トラウマテクノポップを自称(not自傷)してきた我々ですが、今回は全体的にもかなりトラウマパンク/ニューウェーブ化しました。青春パンクの向こうを貼った思春期パンクは、痛々しくも痛快。当時の平沢進氏の、ストーカーを指摘されて逆ギレしたかのような歌いっぷりが好きで、それを浜崎にも要求しました。
P-MODEL、異邦人と繋げるわけではありませんが、この夏が暑かったからでしょうね。イライラしながら汗だくで書いた曲です。結果、逆説的にキーンと冷えたサマーチューンに仕上がりました。
浜崎:
この曲に限った話ではないのですが、今回の制作はいつも以上に死を何度も見ましたね(笑)。喉の後遺症と戦いながらのレコーディングは精神的に本当に辛かったです。もう、思い出したくも無いくらい(笑)。
ですから、いつも通りだったりかっこつけたり何か技巧的にごまかしを利かせる事が全く出来なくて、まず声を発することが一番困難だったので。このアルバムの唄はありのままの飾らない、本当の自分の声だと思ってます。録り始めた頃はイメージしていた声が出せなくてただ辛いばっかりで不安でしたが、覚悟決めたら最後の方には考え方が変わってきて、今ではこの状態だったから出来た表現だと思って満足してます。それに、もし仮に前と同じなら前の曲を聴けば良いわけだし。これからも新しいことにどんどん挑戦していきたいですね。
ソング4部作
ガイド:
気が付きました! 『少女は二度死ぬ』以来、「コマーシャルソング」「アニメーションソング」「ファミリーソング」、そして今アルバムに収められた「プロテストソング」とこれでソング4部作となるんですね。
松永:
ソングと名付ける曲にはいつも、インパクトよりもメッセージを込めています。それがどんなメッセージか一言でいえないから、結果的に曲という表現媒体に収まるんですけど。僕自身は、別に何かに対してプロテストしたいわけじゃないんですよ。右も左も国も個も、正直信じられないし、胡散臭いとすら思っている。ただ「生きる」ということは、死の誘惑や呪縛にかどわかされながらも生きていることは、或る種の反抗だと考えます。死に対してプロテストしたいんです。それは単純に「生きろ」っていうことでもない。簡単に生きていることができるようになれば、それは死んでいるようなものですから。つまり「生きろ」と「死ね」が同義になるような、スリリングな場所に身を置けよっていう…。分かりますか?
浜崎:
意味不明です。