年金

20代・30代で必要な年金(3ページ目)

「高齢者の制度」というイメージの強い公的年金ですが、20代・30代の若い世代でも必要な場合を想定している制度です。「保険料の負担だけ…」を若いい世代は敬遠しがちな公的年金ですが、20代・30代にも心強いセイフティネットである公的年金のしくみをご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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公的年金、本当に必要ない?

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公的年金は若い世代にも必要です!

保険料納付率の低下の原因とされる3点のうち、第1号被保険者の就業状況については個人的に改善することが難しい原因でしょう。雇用情勢が厳しい現在、正社員としての就職することが難しくなっているため、パートやアルバイトといった非正規雇用で働くことを選択せざるを得ない人がいることは問題視されていますが、具体的な改善策はまだ見つかっていないといえるでしょう。

さらに、第1号被保険者の就業状況は「所得水準の変化」に大きく影響します。パート・アルバイトといった非正規雇用で仕事をするために収入が安定せず、年金の保険料を納付することが経済的に厳しくなり、保険料の滞納につながる可能性が高いものと思われます。ただし、経済的な理由だけで保険料を滞納することは、将来の老齢年金の受給資格に影響することもあるので望ましくありません。国民年金の保険料の免除を受けるには被保険者本人の所得だけでなく、世帯全体での所得により免除が受けられるかどうか決定しますが、平成18年からは保険料の多段階免除制度が導入され、認定基準も幅が広くなりました。さらに、厳しい雇用状況を反映して、現在は失業による特例免除を受けることもできます。通常の保険料免除は失業している本人の前年度の所得を含めた世帯の所得で免除の審査を行いますが、特例免除は失業している本人の前年度の所得を除いた世帯の所得で免除の審査を行います。このため、通常の免除制度よりも認定基準が緩やかになります。

また、20代の人ならば、学生の納付特例と同様に、本人の所得のみで保険料の納付が猶予される若年者納付猶予を利用することができます。若年者納付猶予は将来の年金額には反映しませんが、受給資格期間に合算することができる期間で、被保険者本人(配偶者がいる場合は配偶者の所得を合算します)の所得のみで、制度の適用を審査します。

経済的に保険料を納付することが大変な場合は、免除制度や納付猶予の制度を利用することで保険料の滞納を避けることができます。なお、保険料の滞納は受給資格に影響するので将来の老齢年金が受給できなくなるだけでなく、死亡や障害といった万が一のときの備えがなくなります。

日本の公的年金制度は老齢年金だけでなく、死亡や障害に対して遺族年金や障害年金を支給するという機能を持っています。
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死亡や障害のリスクは高齢者世代だけでなく、20代や30代の若い世代にも起こりうるリスクです。第1号被保険者には、被保険者が死亡した場合は一定の遺族に遺族基礎年金が支給され、病気やけがにより被保険者に一定の障害が残った場合は障害基礎年金が支給されます。遺族基礎年金や障害基礎年金は、加入期間に係らず、遺族の人数及び障害の程度で一定の金額が支給されます。

ただし、死亡日や初診日(障害の原因となった病気やけがで初めて病院にかかった日)の前日から直近1年間に保険料を滞納した月が1ヵ月でもあると、遺族基礎年金や障害基礎年金は支給されません。保険料の免除や納付猶予の手続きをとっておけば、保険料を負担していなくもこれらの年金が減額なしで支給されます。死亡や障害に対する年金は、若い世代でも受給する可能性があり、老齢年金よりも長期間受給することになる場合もあります。もし、20代で障害の状態になり、保険料を滞納しているために障害年金が受給できないと、無年金の期間がかなり長くなる恐れがあります。そういった事態を避けるためにも保険料の滞納は避けなければなりません。

また、年金制度への不信感から保険料を滞納する人もいますが、国民年金の保険料を滞納している人の半数近くが民間の生命保険や個人年金に加入しています。自助努力で「もしも」の場合に備えることは大切ですが、公的年金が無年金になってしまうとそれだけで十分な備えができなくなります。

このように、年金制度は、若い世代の人にとっても、今の自分の「もしも」のために保険料を負担しているともいえます。老齢だけではない公的年金の役割について再確認し、公的年金の保険料はしっかりと納付するようにしましょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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