食と健康/旬・季節の食事の食べ方・レシピ

山・野・浜辺で、「摘み菜」を楽しもう

シロツメクサやタンポポ、レンゲ・・・。皆さんにもなじみ深い野草は、食べられることをご存知ですか?  楽しく、おいしく、さらに先人の食の知恵を学ぶ「摘み菜」の魅力をご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

平谷けいこ・社ひとみ・京谷寛
左から・フォトジャーナリスト 京谷寛さん、摘み菜料理研究家 平谷けいこ先生と社ひとみさん
皆さんは、道端に咲いている草花の多くが食べられると聞いたら、驚かれるかもしれませんね。でもそれは特別なことではなく、少し前までは日本人の暮らしに根づいたものでした。先人が伝え続けてきた食の知恵を今に伝える「摘み菜」を知れば、山や野、浜辺に出るのが一層楽しくなります。

「摘み菜を伝える会」を運営されている摘み菜料理研究家 平谷けいこ先生、社 ひとみさん、フリーランスフォトジャーナリスト 京谷寛さんとご一緒に摘み菜を楽しみながら、「摘み菜」の魅力、最近出版された本についてお話を伺いしました。

<CONTENTS>
  • 山・野・浜辺の食べられる野草「摘み菜」……P.1
  • おいしく楽しみ、先人の知恵を学ぶ「摘み菜」……P.2
  • 親から子、孫へ「摘み菜」を伝えられる環境に……P.3

    山・野・浜辺の食べられる野草「摘み菜」

    レンゲ畑
    まるでじゅうたんのような田んぼ一面に広がるレンゲソウ。自然の窒素肥料として田んぼによく植えられています。
    <写真提供/京谷寛>
    「摘み菜」(商標登録申請中)は、山や野、里、浜に生きる菜(花・草・木・海藻・実などすべて)の総称です。最近では山菜も栽培されたものがスーパーで買えますから、野で菜を摘むということは、現代人にはなじみが薄いものになっています。

    でも私が子どもの頃は住宅地でも自然が残っていて、春にはよく母や祖母からヨモギやツクシを摘んでくるように頼まれ、摘んでくると、よもぎ餅を作ったり、つくしのお浸しにして食べていた思い出があります。

    摘み菜料理研究家の平谷先生の魔法の手にかかると、雑草と思われているシロツメクサや、ペンペングサ(ナズナ)、レンゲソウ、タンポポも、おいしく、オシャレな逸品に早変わり! 「摘み菜」を知ってしまうと、その瞬間から「道端はごちそうの山」に変わります。(口にいれるものですから、排気ガスやゴミが溢れるような環境では摘みませんが)

    「摘み菜」が教えてくれる「食の原点」

    レンゲ
    可憐なレンゲソウを見て楽しんだ後、平谷先生の手にかかるとどんなお料理に仕上がるでしょう?
    <写真提供/京谷寛>
    私が、摘み菜料理研究家の平谷けいこ先生にお会いしたのは、もう20年ほど前のことで、取材を通じて知り合い、その後「摘み菜を伝える会」のセミナーにも参加しました。「摘み菜」を通じて学んだことは、今生きる上でも仕事をする上でも大きな糧となっています。

    というのは平谷けいこ先生が伝える「摘み菜」には、食の原点とは何か、野草を食べ物としてまた民間療法として活用する知恵、また今LOHASやエコロジーで問われている人間の生き方、食育など、様々なテーマが盛り込まれているからです。

    例えば「摘み菜を伝える会」では摘み菜をするときのお約束があります。
    ■自分が食べられる分だけを摘むこと。
    ■絶滅しそうな品種は見るだけ
    ■いただいた命は、あますことなく丸ごと命をいただくこと。

    レンゲ畑
    レンゲソウが花ワンタンに変身! ワンタンの皮からレンゲソウのピンクの花びらが透けて、とてもきれいです。
    <写真提供/京谷寛>
    「自分が食べられる分だけ摘む」ということは、いろいろな意味が含まれていると思います。今生きている菜の命を絶やしていただくのだから、自分が食べられる分以上にとりすぎない。それは日々の暮らしの中で溢れるほど食べ残しを出している日本人の食事情を戒めているようにも思います。また家族4人でお浸しをつくるために菜を摘むのは、案外大変な労力な必要です。そんなことから、野菜やお米を一から育てている農家の方のご苦労を想像したり・・・。いろいろな思いが膨らんでいきます。

    また「摘み菜料理」では花や実、葉を食べ、固い茎はお茶にして、できるだけ余すことなくいただきます。自分の命をつなぐために「摘み菜」の命をいただく、だからこそ感謝して丸ごと使い切るのです。

    現代人のように、スーパーで買い物をしていると、「いのちをいただく」という感覚を忘れてしまいがちですよね。摘み菜をしていると、子どもの頃の花摘み遊びを楽しみながら、自然と「食の原点ってこんなことなんだ」と意識できるのです。

    次のページでは、「摘み菜」の魅力を「摘み菜」仲間が語ります。・・・・。・・・・>>
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