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猫に必要なワクチン(9ページ目)

猫を感染症から予防するためにはワクチン接種が必要です。猫のワクチンの種類、効果のある感染症、ワクチネーションプログラムなどを紹介します。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

 

猫白血病ウイルス感染症(FeLV) ☆

■症状
オンコウイルス(レトロウイルスの一種)が原因で起こる病気で、白血病だけでなく免疫力が低下することで様々な症状が臓器に出ます。感染したうちの1/3程度が発症し、50~70%の猫が3~4年以内に死亡します。しかし、全く発症せず寿命を迎えることができる猫や、感染してから4ヶ月程度であれば自分の免疫で陰転(ウイルス検査で陽性+から陰性?に変化する)することもあります。猫の免疫や生活環境・栄養状態によって発症率が変わってくるので、ストレスの少ない飼い方が望ましいです。持続感染猫は定期検診を受け、常に猫の状態に注意してください。貧血、腎臓・肝臓の機能低下、リンパ節にしこりがみられたらすぐに受診してください。

■感染経路
猫白血病ウイルスは弱いウイルスで一般的な塩素系の消毒液で死滅させることができますが、猫同士では比較的感染しやすいウイルスです。同じ食器を共有したり、舐め合ったり、トイレの共有、交配時、母胎感染もあります。

■ウイルス検査
簡易キットを使い血液検査(抗原検査)で簡単に調べることができ、陽性(+)だと感染、陰性(?)だと感染していません。しかし、検査で抗原が出るのは感染してから3~4週間後なので、感染の恐れのないところで生活し、1ヶ月後に再検査して陰性であれば問題ないと判断されます。陽性反応が出ても感染後4ヶ月くらいの間に陰性に陰転することがありますので、一度陽性と出ても諦めずに再検査をしてみましょう。もし陽性から陰性に陰転したらその猫はもう猫白血病ウイルスに感染しませんが、4ヶ月以上経っても陽性と出る場合は持続感染が続いていて、ウイルスが消える可能性が低くなります。

持続感染は、感染した年齢に関係するといわれており、生まれたてで感染するとほとんど100%が持続感染になりますが、生後1ヶ月を過ぎてから感染すると50%が陰転し、1歳以上であれば持続感染するのは1割程度です。もしウイルス検査で陽性と出たら、インターフェロン治療などを行い猫の免疫力を高めて陰転できるかやってみる価値があります。

猫免疫不全ウイルス感染症と複合感染を起こしている猫が多く、両方が陽性である場合は発症率が高くなります。

■予防
陰性とわかれば、室内飼いにし、他の猫との接触させないことです。もし陽性猫との同居であれば、陰性猫にはワクチンが有効かもしれませんので獣医師に相談してください。

■ワクチン効果
このワクチンは抗原検査で陰性でなければ接種することができません。ワクチンを接種した約8割の猫がこの病気に感染しないといわれています。

クラミジア感染症 ★

■症状
クラミドフィラ・フェリス(細菌とウイルスの中間に位置する小さな微生物が病原体)が原因で起こり、主に結膜炎や涙眼がみられます。結膜炎は片眼だけに出ることが多いです。この他、猫ウィルス性鼻気管炎や猫カリシウィルスと似たようなくしゃみ、鼻水などを起こします。以前は国内の猫には少ないとされていましたが、海外からたくさん猫が入ってくるようになり、この病気の猫が増えてきました。クラミジア感染症だけだと効果の高い抗生物質がありますが、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症などとの複合感染だと治るのに時間がかかります。まれにクラミジア感染症の猫の分泌物(目やに・鼻水など)が人の目に入ると結膜炎を起こすこともあるそうなので、患者猫をケアした後は十分に手洗いしてください。

■予防法
感染している猫に接触させない、部屋を分けるほか、感染している猫をケアした後は手洗いや洋服を変えてから感染していない猫のケアを行います。

■ワクチン効果
ワクチンを接種することで症状を軽く済ませることができます。

 

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