ワクチン接種時の注意点
母猫の初乳を飲んだ子猫は移行抗体をもらいますが、この免疫抗体は生後8週前後で徐々に切れていきます。移行抗体が切れる時期は子猫によってまちまち。たとえば同腹の兄弟でも1頭は7週目に切れ、別の1頭は9週目に切れるかもしれません。移行抗体がいつ切れるかを検査で調べることはできますが、これはあまり現実的な検査ではありません。移行抗体がいつ頃切れるかを知るためには、まず移行抗体がどのように下がっていくかを調べなければならず、そのためには複数回の検査が必要です。その他、移行抗体が長く効果を示すウイルスとそうではないウイルスがあるので、それをひとつひとつ調べなければならないからです。もし7週目で切れてしまった子猫に8週目でワクチンを接種すれば抗体がつきますが、9週まで移行抗体を持っている子猫にはワクチンの抗体が効果を上げることができません。平均的に移行抗体が少なくなり始める生後8週頃に1回、そして抗体を確実なものにするために12週頃にもう1回追加接種をする必要があります。たとえば、生後12週を過ぎていると思われる猫を保護したら、ワクチンは1回でもOKですが、多くの獣医師は抗体を確実なものにするために3~4週後にもう1回のワクチン接種を勧めるでしょう。12週齢以上の子猫に追加接種を行うかどうかは、獣医師とご相談ください。1年後からは、他の猫同様毎年1回接種を行ってください。保護した子猫が初乳を飲んでいないかも知れないと思ったら、生後4週からワクチンを開始し、4週ごとに3回接種した方がよいでしょう。ワクチンによる抗体ができあがるまでは、他の猫との接触に十分注意してください。
何かしらのウイルスに感染した恐れがあったり、感染リスクが高い状態でワクチンを接種するときは、同時に抗ウイルス効果のあるインターフェロン治療を行うと効果があることがあります。感染リスクがある場合は、獣医師にご相談ください。
ワクチンによる抗体ができるには2~3週間ほど必要です。ワクチン後2~3週間は感染のおそれがあるところに連れて行ったり、他の猫との接触を避けた方が無難です。