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銀座マロニエゲートで江戸意匠を感じる(2ページ目)

9月1日にオープンした「銀座マロニエゲート」。この5階から9階には東急ハンズが入っており、デザイナーと職人がコラボレーションした、江戸意匠の展示が開催されています。(9月30日まで)

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

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ユニークでおちゃめな切子ガラスたち

今までの”切子観”が変わります。
右上の写真のグラスは、戸澤弘絵さんのデザイン。ちょっとモダンな切子グラスのようですが、実は計量カップ の機能付き!線と水玉を組み合わせて、目盛りをデザインしています。水玉の数で容量を表し、 15ccから300ccまで正確に測れるようになっているのです。 お酒に映えるグラスですが、これなら呑み過ぎ防止になるかもしれませんね。
下はトラフ建築設計事務所の鈴野浩一さん、禿真哉さんがデザインした作品。 昔の台所にありそうな、懐かしいフォルムの醤油ビンや楊枝入れに美しい切子を施し、 手に取ってみて、あれっ?と思う、プチサプライズが楽しい作品です。




人気の手ぬぐいにひと捻り

どこかほのぼの。手ぬぐいの可能性は無限大。
手ぬぐいというモチーフは、クリエイターの創作心を沸き立たせる要素があるようで、 今回もいくつかの作品が展示されていました。 右上の写真はドリルデザインの作品で、それぞれ、「錦鯉」「青魚」「魚拓」をデザイン。 折り紙のような要素を持たせ、折れば魚の形になるところがユニークです。 お風呂でこれを泳がせても楽しいですね。
下の写真は街の風景を手ぬぐいにデザインし、犬やネコ、自動車などのモチーフを ハットピンで組み合わせています。 手ぬぐいは、体や手を拭いたり、縫い合わせて着るものを作ったり、下駄の鼻緒に 作り変えたり、と江戸時代の万能アイテムだったそう。 今回は「装う」という機能をプラスして、ファッションアイテムとしてスカーフの ように使ってもらいたい、という思いが込められています。ジュエリー作家の永尾知己 さんの作品。




視点を変えれば、新たな道具へ変身!

昔ながらの道具が、現代のアイディアで早変わり。
本来の用途とは少し変えてしまってるけど、そのフォルムは美しく、 現代の日常の道具として残していきたいものばかり。上の写真は 和菓子型からインスピレーションを得たカップトレイ。底に 施したのは「巴紋」です。江戸時代は様々な紋様が流行した時期で、庶民の間でも 自由に使われていたとか。巴紋はその中でももっとも古く、 水の流れを表現した紋様なのだそうです。
下左の写真はOKEBON(桶盆の意味)。結桶の技術をお盆に表現しました。 結桶は短冊状の細い板を円く並べて、その回りをタガで締めて結い合わせたもの。 無垢の木の手触りや、ほのかな木の香りが癒し効果ももたらします。 この二つは山梨にアトリエを持つ、 イカスタジオの浦田進一さん、矢内弓子さんの作品です。
下右は建築家・篠崎隆さんのデザイン。「江戸手植刷子(ブラシ)と木工によるカード立て兼小物入れ」 です。ブラシを手植えで作る場合、木地に微妙な角度をつけて穴を開け、毛を丁寧にそろえて二つに折り曲げ、 裏側からハリガネでひとつひとつしっかりと留めていきます。 根気のいる作業ですが、手植えで作られたブラシは毛が抜けにくく、丈夫で長持ちするそうです。 ここではブラシの部分を剣山のように見立て、カードやメモを挟めるようにしています。 筆記具などを入れるくぼみも付いているので、デスク回りをすっきりとまとめてくれそうです。




見とれてしまう、匠の技が光る名品

息を呑む美しさは職人の腕が命。
素材が持つ魅力を最大限に活かした、少し贅沢にもみえる日用品。 ちょっぴり心が豊かになれる道具たちです。 写真上のロボットのような3つの物体は、錫の卓上調味料入れ。 それぞれ、しょうゆ、塩、胡椒が入れられます。 ピカピカの鏡面仕上げは職人の手仕事によるもの。 手を添える部分に藤が巻いてあるのも上品な雰囲気です。 錫は本来、茶器や酒器などとして、貴族や武士階級に愛用されてきたものですが、 江戸の粋をささやかに感じながら、日常使いしてみてはいかがでしょうか。 デザイナー・大友学さんの作品です。
下左は江戸指物の名刺箱。これは印籠からイメージしたもの。 印籠は江戸時代、タバコや薬を入れ、粋な小道具として持ち歩かれていたそうです。 様々な装飾が施され、ファッションの意味合いもあったそう。 また、「水戸黄門」では家紋を入れて、自らを証明することから、 現代でいう名刺代わりと考え、名刺入れとなりました。 ぴたっと合わさるフタの気持ちよさ、木目の美しさにうっとりします。 チョイ悪デザイナー(?!)・菅野傑さんの作品。
下右はイカスタジオ・矢内弓子さんの作品。現在はお祝いの席などで出てくる枡ですが、 当時は測定器として日常に利用されていました。 江戸時代に枡の統一規格が制定され、年貢を納めるためにも使われていたそうです。 中には大きめの偽枡を作って不正を行う代官などもいたりして、 どの時代にも変わらない皮肉なエピソードがあるようです。 こちらの枡は指物職人の手で薄く繊細に仕上げ、漆が施されています。 また、入れ子になっているので、全てがすっきりとひとつに収まります。 それぞれ、一合、半合、盃くらいのサイズ。 こういう一見なんでもないようなものこそ、幅広く機能性に優れている上、 佇まいの美しさにハッとします。

最後に下の写真。グラフィックデザイナー・樋口賢太郎さんの作品。江戸時代、酒屋が庶民に小売用に 貸し出していた徳利は、貧乏徳利と呼ばれていたそうです。 お客さんは自分の欲しい量のお酒を徳利に詰めて買う、 いわゆる量り売りでした。リサイクルというより、 瓶がもったいない、という自然な発想。「もったいない」はノーベル平和賞を取った、 ケニアの環境保護活動家ワンガリ・マータイさんの合言葉としても有名になりました。 今回の展示では、現代のデザインによって生ま変わった身近な道具から、 江戸時代の頑固でスマートで心の奥にじんと響くような心意気の カケラを感じることができたように思います。

お酒のボトル
瓶=貧でダジャレ?!「もったいない」の精神で、
昔の量り売りをイメージした酒瓶。潔いシンプルさ。



「江戸意匠GINNZA HANDS EXHIBITION」
会場:東急ハンズ銀座店 7F
東京都中央区銀座2-2-14 「マロニエゲート」内
会期:2007年9月1日~9月30日 10:30~20:30

江戸意匠HP
http://www.edo-isho.jp/
東急ハンズ銀座店
http://www.tokyu-hands.co.jp/ginza.htm


ファニチャーガイド・石川さんの記事では、デザイナーの視点から展示の様子が伺えます。



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