展示の様子
ダンボールを積み重ねただけという、展示用什器もユニークです。


この9月、プランタン銀座の横に新しい商業施設・マロニエゲートがオープンしました。 ファッション、グルメの専門店がひしめく総合ショッピングモールですが、 その5階から9階は東急ハンズの新店舗「銀座ハンズ」が入り、銀座ならではのオリジナルな品揃え を展開しています。7階には「ハンズインスピレーション」というコーナーを設け、暮らしや文化、 クリエイティブの情報発信地として、ギャラリー的な機能を有しています。 今回は、そのこけら落としである「江戸意匠」の展示会をレポート!



江戸の伝統技術が、現代のデザインに出会う

伝統工芸品
職人さんが従来作っていた工芸品も展示
展示のキーワードは「江戸」。江戸時代の人たちは、四季折々の風情を肌で感じ、 文化・芸能を楽しみ、「粋でいなせ」に暮らしていました。 高感度な江戸っ子たちの着物や道具へのこだわりが、職人技術を高めていったといわれています。 現代、そういった職人たちは希少価値となり、彼らの作る道具は芸術品として、 どこか疎遠なものとなってしまいました。 しかし、時代の波に呑まれながらも、昔ながらの伝統技術を淡々と受け継いでいる名工たちは存在します。 今回は、そんな職人たちと、新進気鋭のデザイナーやクリエイターがコラボレーションして、 それぞれのアイディアを出し合い、新しい道具を作り出しています。 それらは江戸の空気を匂わせつつも、現代の日常に使える生活道具として誕生させているのです。


伝統工芸品
伝統工芸の技術を駆使した携帯ストラップ。


江戸指物の職人の技が光る家具

石川さんの作品
デザイナー・石川尚さんの作品。一本のネジも使っていません。
今回の展示では、25人のデザイナーと職人が参加。 実はAll Aboutのファニチャーガイドでもある、 石川尚さんも江戸意匠デザイナーの一人として、作品を展示しています。 というわけで、石川さんよりレクチャーを受けつつ、会場内を見学しました。

石川さんの作品は、「KUMIKI」。江戸指物の職人と作った、組木のスツールとミニテーブルです。 ネジやクギは一切使わず、パズルのように凹凸を組み合わせて形が完成します。 収まるべきところに、気持ちよいほど寸分の狂いなくぴったり収まる絶妙な手加減は職人技ならでは。 ビーチとウォルナットの2種類の木材で制作し、仕上げには蜜蝋ワックスを使っています。 スツールに座らせてもらいましたが、お尻を乗せるときゅきゅっと真ん中が緩やかに歪んで、 自然な凹みが心地良いのです。 「こういった細かな仕事へ向ける心意気に感動します。今回の作品は、学校関係者の方にも 興味を持って頂きました。生徒たちが自分で仕組みを確認しながら組み立てることによって、 精巧な技を肌で感じてもらいたい、とのこと。自然素材を使った、安全な作品でもあるので、 子どもたちに使ってもらえたら嬉しいですね。」と石川さん。


この日は他に、江戸切子の計量カップや組紐で作ったスニーカーの結び紐をデザインした、 戸澤弘絵さんもいらしておりました。 運がよければ、展示作品を出品しているデザイナーや職人と出会えるかもしれません。 それぞれのこだわりや技、作品ができるまでのエピソードをあれこれ聞いてみるのも楽しいのでは。 今回展示している作品は、全て購入することも可能です。既に売り切れも出ているので、 気になる人はお早めにチェック。

次ページでは、特に目を引いた作品をご紹介します。