ほどけたら縫い直し、ずっと永く使いたいもの
居心地良さそうなアトリエです。 |
上野さんが革の作品作りを始めたのは、無相創ができてから。 もともと手作りは好きで、趣味で布小物を作ったりしていた そうですが、あるときヨネハラさんがヨーロッパに出かけ、 旅土産に買ってきてもらった革のバッグに、大きな衝撃を受けたそう。 「ものすごくシンプルな作りでしたが、だから飽きが来なくてずっと使える。 革っていいな、と素直に思いました。 そのバッグは今でも普通に使っていますが、時が経って色や手触りが変化していく具合もいいし、 革の良さをしみじみ実感しています」。
きちんとしまわれた道具たちの清い姿にほれぼれ。
作品作りは基本的に独学。 最初は全く知識がなかったので、 本を読んだり、革に詳しい人に聞いたりして、 少しずつ体で覚えていったそうです。 ミシンも普通の家庭用ミシンで縫っていたとか。 「できなかったら手で縫えばいい、と思っていました。 ミシンという機械は近代のものですし、昔の人はずっと手縫いだったはず。 それでも、今の時代にも大切に使われている丈夫なものがたくさんあります。 ほつれても、不恰好でも、また縫い直してずっと永く使っていけるもの が作れたらいいな、と思っています」。
上野さんの革作品いろいろ。椅子の革張りなどをすることも。
ENSYUでは、そんな上野さんオリジナルの革作品がこれからどんどん並んでいくそう。 といっても、自分にとって納得のいく ものを、ゆっくりペースで少しずつ増やしていく予定だとか。 写真上左のスリッパは、いずれも一見あっさりとシンプルでこだわりのないかたち。 しかしよく見るとしっかりと丈夫に丁寧に縫われており、 ずっと永く使って欲しいという細やかな配慮が見られます。 下はボールペンにタンニンなめしの革カバーを付けたもの。 縫い目の部分がちょうど手にかかって、なかなか書きやすいのです。 中身はペンテルのHybridというもので、もちろんインク交換ができます。 しっぽに付いている少し錆がかった金属のわっかは、 昔の人形の刀の鞘部分を作るパーツなんだそうです。 ちょっぴりとぼけた風情があって、ほのぼのと愛らしいデザインです。
ヨネハラさん作のランプたち。
こちらはヨネハラさんの作品。素朴で、 ほんのりとポエティックな雰囲気を漂わせる、ユニークなランプです。 ヨネハラさんの作品は、無相創での展示がメインですが、こちらのお店にも ぽつぽつと飾られていました。 錆びた鉄や古材、古いガラスの漏斗など、どこか懐かしく質感のある素材を 使い、独特の存在感があります。
看板犬ラクちゃんはのんびりお昼寝中。
そしてヨネハラさん、上野さんのもうひとつの活動が 「3arrows」。これは自分たち+αの誰かとの合作で、 家具や雑貨などの作品を世の中に送り出すコラボレーション企画です。 自分たちが信頼できる作家や職人とじっくり向き合い、 お互いが良いと思うものを少しずつ丁寧に創っていきたいとのこと。 新しい場所がオープンして、今後ますます魅力的な何かが生まれそうな予感です。
ENSYU(エンシュウ)
東京都世田谷区代沢4-25-8
tel 03-3795-7373
12:00~17:30
月、火休
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