外観
目印は洋書屋さん。1階はおいしい和食屋さんです。


つい先日まで、下北沢に露崎館という古い建物がありました。昭和12年に 建てられた、元は下宿屋だったというこの木造建築は、 残念ながら取り壊されることになったのです。 そのビルには、小さくて魅力的なお店が細々とひしめき合っていました。 その中のひとつだったfuchiso(フウチソウ)は、 青山に移転。静かにお店を再スタートさせました。 銀座線の外苑前から、ベルコモンズの脇を通り、 ワタリウム美術館からすぐの場所。ちょいっと路地を入った 左側です。小さなマンションの階段を上って2階に上がります。

自分らしい表現ができる空間

店内
場所柄もあってか、下北時代より一層落ち着いた雰囲気
店の中へ入るとまず、玄関に白い玉砂利が敷き詰められています。 マンションの一室という無機質な空間のため、 自然の有機的なものを取り入れたかったという小松さん。 玉砂利が外と内との境界線のような役割をし、 足に触れる感触や静かに響く音に、 すっと気持ちが落ち着くように感じます。 暖簾をくぐって中に入ると、部屋は手前と奥のふたつ。 入ってすぐは主に現代の作家ものや実用的なものを 多く配置しています。 下北沢のときと同じ、少しくすんだ味のある木の床を敷き詰め、 古びた空間と新しいものとの混在を楽しめるようになっています。 そして奥の部屋は古物中心。こちらは古いものが映えるよう、 あえて壁も床も白にし、 ひとつひとつをじっくりと時間をかけて眺めてられるよう意識しました。 置いてある商品の雰囲気は、 下北沢のときと根本的には変わっていませんが、 以前より部屋が広くなり、場所柄、静かな環境のせいか、 より落ち着いた気分で過せるように感じます。 私が訪れたときは、まだオープンして2週間ほどでしたが、 既にずいぶん昔からここにあったような雰囲気を醸し出していました。

店内の様子
今度のお店は少し広くなって、二部屋あります。


昔からモノが好きで、働くなら雑貨屋しかありえないと思っていた、 という店主の小松綾子さん。 かつてはインドネシアの家具卸し会社で4年ほど働き、 スタッフが少なかったことから、商品の企画から営業、はたまたコンテナの荷降しまで、 あらゆる業務に関わっていたそうです。
「目が回るほど忙しくて、今だったら絶対無理だと思いますが、若さゆえにやる気に満ちていました。 なんでも吸収したいという思いも強かったですね。 いい人生経験になりました」。
その頃からだんだんと古いものにも興味を持ち始め、 次はアンティークショップで働きます。 日本の古布やアジアの少数民族が織り上げる布、 世界各地の様々な手仕事の布に魅せられ、引き込まれていったのもこの頃。 さらにものづくりをする人々とのつながりも深まりました。 古いものも新しいものも手作りのものも、いろんな要素を融合させて、 もっと自分らしい表現のできる場所を作りたい、という思いが徐々にふくらんでいったそうです。
「今お店にあるものは、古いものが7割、新しいものが3割くらいでしょうか。 個人店だからできることを、自分にとってきちんと納得のいくかたちで やっていきたいと思っています」。


ディスプレイいろいろ
何気ないディスプレイが素敵です。


次ページでは、ものに少しクローズアップしてご紹介します。