平安時代末期まで下総国分寺が置かれ、また、奈良時代の伝説が語り継がれるなど、古くから地域の中心だった歴史の街、市川。この街に住む文化人が多いことから、文化都市としてのイメージも強く、千葉でも有数のお屋敷街となっています。では、この街の住み心地を見てみましょう。
都心から20分、歴史と文化の街
【市川の位置と周辺の様子は?】
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総武線、国道14号、京成線の南北に広がる住宅街は南と北で表情が異なる |
総武線で秋葉原から20分弱。江戸川を越えると、そこが千葉県市川市。総武線と京成線がほぼ平行して走っており、総武線市川駅、京成線市川真間駅間は国道14号を挟んで、歩いて数分ほど。両線が利用できるわけです。
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北口エリアにある大門通りの家々の壁には万葉の歌などが掲げられ、文化都市の面目躍如といったところ |
平成16年に市制70周年を迎えた市川市は、古くから地域の中心。特に市川駅北口から国府台にかけての地域には奈良時代にこの地に住んだといわれる絶世の美女手児奈の伝説や、国分寺、国分尼寺、いくつもの古墳などが残っており、散策が楽しいエリアです。
また、古くは作家の永井荷風や北原白秋など、この街に住む文化人が多いことも有名。市川市名誉市民には画家の東山魁夷さんやカメラマンの星野道夫さん、詩人の宗左近さんなどが名を連ねていますし、市の文化振興財団の現在の理事長は作家の井上ひさしさんが務めていました。
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市川駅から歩いて10数分、昨年秋にオープンした市川市芳澤ガーデンギャラリー周辺にはお屋敷が多い |
こうした伝統からか、市川市の文化振興策は充実したもの。なかでも、市内に住んだ実業家、文化人などの邸宅を譲り受け、ギャラリーなどとして市民に開放する事業は、身近に芸術を感じられると好評です。
環境、自然などへの意識の高い住民も多い市川市では、それに応じてサービスも充実している(クリックで拡大)
「文化だけでなく、環境、市民サービスへの取り組みも評価したい」とは10年前に市川に引っ越してきたKさん。「市川駅前に住民票取得などができる出張所があって便利。それにゴミの収集は日曜日を除いて毎日あるんです」。
再開発で変わった市川駅南口
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市川駅南口の再開発エリア。総武線に沿って細長く広がる(2005年) |
さて、その歴史と文化の街市川が大きく変わろうとしています。それが、平成20年完成予定の南口再開発です。広さ約2.6ha、これまで小規模で老朽化した飲食店街が中心だったこの地域には駅前広場や緑地、商店街、そして住宅が建設される予定です。
駅からかなり離れないと2棟を同時に見ることができないほど、再開発エリアは広大。周辺にはこれ以外にタワーがないため、街のシンボル的な存在に(クリックで拡大)
その南口の、再開発完成後の様子を見てみましょう。駅の左右には45階、37階のタワーが建ち、建物内には展望ロビーや図書館などの公益施設、飲食店なども入っており、2棟の間はペデストリアデッキでつながれています。住宅は賃貸、分譲合わせて約1000戸作られました。
駅前に作れたロータリーを見下ろしたところ。3階に両棟を結ぶペデストリアンデッキが設けられ、ベンチなども置かれている(クリックで拡大)
また、駅前には広々としたロータリーが作られ、かつてのごちゃごちゃした雰囲気は一新されました。エリア全体にはI-linkタウンという名称が付けられています。
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市川駅から歩いて10分ほど。河川敷には自然観察が楽しめる池なども。 |
再開発エリアを抜けると、住宅街です。駅からの距離では数分もしない距離ですが、この地域には高い建物は少なく、高くても7~8階くらいが中心。小規模なアパートやマンション、一戸建てなどが多い地域です。
さらに歩くと、江戸川河川敷。駅からで約10分ほど。川沿いにはサイクリング、ジョギング、犬の散歩が楽しめそうなコースがあります。ご近所に住んだら、朝晩川風を浴びて散歩なんて、健康的な生活が楽しめそうです。また、この河川敷では毎年8月第1土曜日に市民納涼花火大会が開かれます。同日、江戸川区でも花火大会が開かれるので、1度で2回楽しめるそうです。
北口は歴史と坂のあるお屋敷街
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市川市北口駅前にはバスロータリー、高架下には飲食店、商業施設の入った駅ビルが広がる |
目の前にバスロータリー、「ダイエー」などの商業施設、そして左右に伸びる路地には飲食店が並ぶ北口。正面には国道14号が走り、そこを渡り、少し歩くと住宅街が広がります。駅から離れれば離れるほど、大きな住宅が増え、特に京成線を渡った真間川以遠は和風の落ち着いた佇まいのお屋敷が目に付くようになります。
ただし、駅の南口エリアは平坦な場所ですが、北口側、真間川以遠は急な坂もあり、自転車での移動には少々体力を使います。
それでは、次ページでこの街の住宅価格を見ていきましょう。