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御殿山、代官山から田園調布、成城学園へ 歴史が語る、お屋敷街の系譜(2ページ目)

一言にお屋敷街といっても、その成り立ちはいくつかに分類されます。自然の地形から発生したもの、計画的に作られたもの……。どの街がどのように作られてきたのかを見てみましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

都市計画が作ったキレイな街並みのお屋敷街

松濤のお屋敷街
渋谷区松濤。大使館や一軒家のレストラン、車数台分のガレージのあるお屋敷などが並ぶ
ある種自然発生的な山、台に続くのは計画的に作られたお屋敷街です。歴史的に古いものでは大正から関東大震災にかけて華族の宅地開放で作られた街で、当時は◎◎園、郷などと命名されていたとか。

渋谷区の松涛町、大山町、地名として残っていないものの日暮里の渡辺町(現在の荒川区西日暮里4丁目)、駒込の大和郷(六義園の裏手)などがこの例です。これらの街も公共交通機関を中心にしていないタイプの立地です。

田園調布の並木道
全国的に有名な田園調布の並木。駅から放射線状に並木道が続く
これらに続くのがおなじみの田園調布や成城学園など、田園都市、学園都市として作られた街です。個人の経営者や鉄道会社などが、理想の街を作ろうと手がけてもので、洗足、深沢、国立や小平、玉川学園、大泉学園、常盤台などもこのタイプの街です(計画が完遂されなかった場所もありますが)。

これらの街は田園調布を想像していただければ分かる通り、道路を中心に全体計画がきちんとなされていることが特徴。整然とした区画、並木など、暮らしやすさへの配慮が随所にあります。また、電車が利用しやすい立地でもあり、住むとすると、◎◎山よりは利便性が高い場所といえます。

区画整理が早く終わった場所ほど区画が大きく、お屋敷が中心に

自由が丘の住宅街
駅から数分以上離れると整然とした区画が広がる自由が丘
その後、主に23区内では早くに区画整理が行われた場所がお屋敷街として認知されるように。ここでの例は下北沢、代沢、奥沢、自由が丘、荻窪などが挙げられます。いずれの場合も歴史が古ければ古いほど、区画が大きいため、必然的にお屋敷街と呼ばれます。住宅街として開発されているだけに、道路計画まではなかったとしても、住みやすい街ばかりです。


市川市の住宅街
市川では坂の多い高台に大きな一戸建ての並ぶ地域が集中する
都内以外にも、やはり歴史ある場所にはお屋敷街が存在します。たとえば、ガイドのおすすめタウンガイドで取りあげた千葉県市川市は歴史の古い街でもあり、江戸時代には日本橋界隈の豪商たちが別宅を構えていたとも。そのため、市内でも高台の地域は今もお屋敷の建ち並ぶエリアになっています。

言ってみればお屋敷街は歴史の賜物。風情あるお屋敷街に住みたいと思うなら、歴史を押さえ、それが街の雰囲気や商店街などにどう影響しているかをチェックしてみるといいでしょう。

また、一般的に環境と利便性は相容れないことがありますが、お屋敷街ではそれが如実に出ます。環境か、利便性か、優先順位で考える必要があるというわけです。

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