日本を、東京を訪れる人の大半が訪ねる街、浅草。四季折々の祭りに、老舗の並ぶ路地、寿司、てんぷらから洋食まで揃うこの街に住むとしたら……。暮らす街としての浅草をじっくり見ていきましょう。
足回りよりも、街自体の魅力が「住みたい」気持ちの原点
浅草と周囲の関係は?
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観光地としての浅草は浅草通り、国際通り、言問通り、江戸通りに囲まれた部分。それ以外には住宅も多い |
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浅草といえば浅草寺。都内では最古の寺だ |
東京メトロ銀座線、都営浅草線と2本の地下鉄、そして東武伊勢崎線の始発駅浅草。日本橋、虎ノ門、銀座といったオフィス街とのアクセスの良さはもちろんながら、この街に惹かれる人の多くは足回りよりも、街としての魅力を挙げる人が多いようです。例えば、結婚以来13年、西浅草2丁目に住むNさんは「生まれ育った世田谷よりも、街全体に季節感があり、知られざる名店なども。住めば住むほど、奥の深い街です」。観光客相手の店以外では馴染みになるなど、地域での人間関係も生まれており、Nさんはもう、この街を離れるつもりはないといいます。
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祭りの時期になると街の随所に看板や幟が立ち、雰囲気を盛り上げる |
浅草の魅力のうち、Nさんがトップに挙げたのは季節感でしたが、確かにこの街には四季折々に祭りが行われています。初詣に始まり、江戸三大祭りのひとつ、5月の三社祭、7月の朝顔祭り(入谷)、ほおずき市に隅田川花火大会、8月のサンバカーニバル、11月の酉の市、12月の羽子板市などなど。細かいものを挙げれば、毎月、毎週のように何かが行われていると言っても過言ではありません。街中に張り出された祭りの提灯に、季節を身近に感じられる街なのです。
老舗揃い、歴史がそこここにある街
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浅草1丁目1番地1号にあるのが日本初のバー、神谷バー |
浅草寺が都内最古の寺であることに始まり、浅草には「日本最初」「日本最古」の店や、都内では数少ない店などが多いのも、歴史ある街ならでは。電気ブランで知られる神谷バーは日本初のバーですし、駒方どぜうは日本最古のどじょう料理専門店であり、かつ日本で最初に鯨料理を出した店だとか。都内唯一のそろばん専門店、東京では2軒しかない櫛の専門店など、枚挙に暇がないとはまさにこのこと。そうそう、かの花やしきには日本最古のローラーコースターがあります。
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民家の風情を生かした居酒屋などが点在、夜の散策も楽しい |
歴史が育んだ、この街のもうひとつの魅力が豊富な種類の食べ物屋さん。てんぷら、天丼、すしにすき焼き、牛鍋やふぐ……。個性ある洋食屋さんや今は少なくなった喫茶店、甘味どころも健在です。飲む人には風情ある居酒屋が多いのもウレシイ点でしょう。
中心部以外にはごく普通の住宅街、商店街が
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浅草寺の裏手、浅草3丁目は裏浅草とも呼ばれる地域 |
観光で訪れることが多いためか、仲見世や浅草寺周辺の飲食店街のイメージで浅草全体を考えている人もいらっしゃるでしょうが、中心部を少し外せば一戸建てに小規模なマンション、アパートなどが混在する住宅街が広がっています。
例えば、浅草寺の裏手。言問通りを挟んだ浅草3丁目以遠はところどころに料亭や飲食店もありますが、主に住宅街。国際通りを挟んだ西浅草2丁目、3丁目は小さなお寺や小規模ビルもありますが、やはりこちらも住宅が少なくないエリア。雷門の向かい側雷門1丁目、2丁目には古い一戸建てが多く残っています。
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スーパーは雷門通りなど大きな通り沿いに |
毎日の買い物に必要なスーパーや商店街も中心部以外に点在。浅草寺裏の千束通りにはアーケードのある商店街があり、ドラッグストアからスーパー、八百屋さんなどが軒を連ねています。残念ながら、活気ある店ばかりではありませんが、歩いてみると、安値で頑張っている店も目につきます。また、雷門通りや国際通りには夕方になると地元客で賑わうスーパーもあります。
では、この街の住宅事情、相場はどうなっているか、次ページで見ていきましょう。