2015年にオープンしたエリアから駅方向を望む。駅から公園まで一続きの区画がようやく完成だ(クリックで拡大)
多摩川、玉川高島屋ショッピングセンターという従来からの人気スポットに加え、再開発で登場した二子玉川ライズが加わり、より注目度が高まる二子玉川。自然の中にありながら、都会の便利さも享受できる街の住み心地、ようやく完成した再開発の様子などを見ていきます。
東急線2線に国道246、環八も近い便利さ
【二子玉川駅周辺地図】
|
環八、国道246号、東急田園都市線、同大井町線と多摩川に囲まれた二子玉川駅周辺(地図は2005年当時のもの) |
|
東急田園都市線、同大井町線が交差する二子玉川。駅周辺にいくつもの商業施設が集まる(写真は再開発以前) |
渋谷から東急田園都市線で11分、東急大井町線も通る(2009年に溝の口まで延伸)二子玉川はニコタマの愛称で知られる街。駅の改札から西口に出ると、目の前に国道246号が走り、左を見れば駅から見えるほどの近さに多摩川を渡る橋が見えます。右に行けばすぐ環八で、東名高速や第三京浜の東京インターもすぐ近く。都心へも、郊外へも、電車でも、車でも便利なのが、この街です。
|
交通量の多い西口は休日ともなると渋滞は必至(写真は再開発以前) |
ただし、駅のすぐ前が幹線道路で、しかも、大型ショッピングセンターがあるという立地のため、駅周辺には駐車場、駐輪場が少なく、特に土日祝日はショッピングセンターの駐車場待ちで行列ができることも。その影響で、駅周辺の道路も含め、渋滞は常態に。再開発に伴い、道路整備が行われ、駐車場も増えましたが、それ以上に来街者が増えたことから、なかなか緩和には向かっていないようです。
ニコタマのシンボル、タマタカ(玉川高島屋ショッピングセンター
左側が玉川高島屋。以前に比べると緑の濃い外観となっており、時代に合わせて変化してきたことが分かる(クリックで拡大)
街の愛称がニコタマなら、この街のシンボル的存在は長らくタマタカ(玉川高島屋ショッピングセンター)でした。駅西口、国道246沿いにガラス張りの瀟洒な姿を見せている、郊外型ショッピングセンターの草分け的存在といわれる、玉川高島屋ショッピングセンターです。
1969年(昭和44年)の本館に始まり、どんどん増え続けてきたタマタカ。駅周辺にある本館、南館、西館、東館などに加え、少し離れてマロニエコート、ケヤキコート、ガーデンアイランドなどと、現在では9棟もの建物があります。
エルメスやグッチ、ルイ・ヴィトンといった海外のブランド品から、各種ファッション、食器、書籍や食料品、レストランなどに加え、イベントホールやカルチャースクールとタマタカにはほぼ何でもあり。本館、南館7階には広々とした庭もあり、一日遊んでいられる、ニコタマ住民の憩いの場でもあります。
二子玉川では住宅街の中に、野菜の直売所が点在する(写真は再開発以前)
なかでもこの街らしいのが、食料品売り場に置かれている世田谷で収穫された野菜、そしてガーデンアイランドです。まずは、世田谷で収穫された野菜ですが、これには1999年(平成11年)に作られた「せたがやそだち」という統一ロゴが冠されており、区民にはおなじみ。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、23区の中でも世田谷区は農地が多く残っている場所。
二子玉川周辺でも宇奈根、岡本、鎌田あたりには農地が多く点在しており、直売所なども。その農家から届く新鮮な野菜が世田谷ブランド「せたがやそだち」として売られているのです。
そしてガーデンアイランド。ここには園芸、ペット、ホビーをテーマにしたショップが入っており、また、「たまがわガーデニングクラブ」があります。日常的に緑、花を楽しむ暮らしが身近にあり、地元の自然の産物である野菜を味わえる街、ニコタマの生活がこの2点に象徴されているのです。
|
玉川高島屋裏にある二子玉川商店街。八百屋、豆腐屋、魚屋など生活に必要な店舗は一通り揃っている(写真は再開発以前) |
ただし、あまりにタマタカの存在が大きいせいでしょうか、地元商店街はあるものの、活気はいまひとつ。ここ10年ほどで新しい店もできてはきたものの、通り沿いに住宅も増え、プラスマイナスで考えると、それほど変わらない感じです。また、深夜までの営業している飲食店も少なく、夜遅くまで忙しいシングル、カップルには、あまり便利な街とはいえないかもしれません。
散歩、ジョギング、花火大会に水遊び……、多摩川あってのニコタマライフ
|
夏の花火大会は世田谷区、川崎市が同日に開催。ダブルで楽しめる(写真は再開発以前) |
タマタカと並ぶこの街のシンボルが、多摩川。駅から、ものの数分ほどの場所には兵庫島公園があり、そこから上流に向けては世田谷区のみならず、渋谷区や目黒区などのサッカー場や野球場が延々と続いています。下流には多くの花見客を集める桜並木が続き、散歩やジョギング、日光浴、はたまた釣りに、水遊びの子どもたち……。夏には花火大会などのお楽しみもあり、365日いつでも、誰でもが楽しめる場所になっています。
ちなみに過去にはバーベキューができた時代もあるのですが、現在は対岸の川崎市側の一部でのみ可能。いささか残念ですが、環境維持のためには仕方のないことかもしれません。
|
多摩川で鮎や鮒、鰻などを釣る場合には多摩川漁業組合に許可を得る必要がある(写真は再開発以前)
|
特に最近は長年の浄化対策の結果か、水質が良くなっており、鮎や鯉、鮒なども戻ってきているとか。江戸時代から多摩川は鮎の産地として知られており、徳川将軍もわざわざ食べに来た記録があるほど。現在もその当時の、創業180年余という料亭が日本料理店として残っています。
さて、次のページでは、緑と水の街、二子玉川の住宅事情を見ていきましょう