生き残るお屋敷街は都心部と
活性化戦略のある街
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渋谷のすぐ裏手、松涛の住宅街には一戸建てとマンションが混在している |
つまり、前述の、
Tokyo Rentの人気エリアに見るように、足回りのいい都心近くであれば十分生き残れるます。これは都心の便利さへのニーズが根強いこと、郊外とは違い周辺に分譲、賃貸を含めてマンションが建設される可能性が高く、それによって高齢化が食い止められるから。実際、松涛や代々木上原、南平台などでは低層の高額賃貸マンションなども増加中です
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東急田園都市線たまプラーザ駅前では街に活気を呼び戻そうと再開発も進められている |
もうひとつ、高齢化対策がある街にも可能性があります。例えば東急電鉄。具体的には
自社で分譲した一戸建てを高齢世帯から買取り、リフォームして、若い世帯に再分譲するというもの。高齢化世帯の「駅近く、もっと便利なところに」というニーズと、若い世帯の「手頃な価格で、子育てにふさわしい環境を」というニーズを合致させる試みです。2005年6月のスタート以来、確実に販売実績は増えており、自然に優しい中古住宅の流通手段としても注目されています。
人口構成から高齢化の度合いをチェック、
街の多様性を調べることも大事
では、より少子化、人口減が進むであろう、これからの時代に住宅を買う人にとってはどんな街を選べば、10年後、20年後、さらにそれ以降も活気のある街に気持ちよく住み続けられるのでしょう?
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浦安市の中でも一際平均年齢の低い新浦安。子育て年代が中心だ |
まずは現在のその街の年齢構成を調べてみてください。これは各自治体が、町丁別に資料を出しています。計算が必要なこともありますが、見てみると自治体による差がよく分かります。例えば、東京都の平均年齢は40.7歳ですが、千葉県の浦安市は
36.8歳(平成17年4月1日現在)。つまり、浦安市のほうが高齢化の進行が遅く、子どもも多いというわけです。
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商店街を歩いてみると、街の活気が分かってくる |
次に注意したいのは多様性のある街かどうか。住宅ではマンション、一戸建て、分譲、賃貸が混在、様々な年代、家族構成の人が住むことを計画している街であることが大事です。商業施設も同様で、大型商業施設がひとつあれば事足りると思ってはいけません。郊外では地域の商業を支えてきた大型店が倒産、撤退、その結果、地域から急速に活気が失われていった例がいくつもあります。そもそも、商店街もあって、競争のある街のほうが、物価も安く、住みやすいはずです。
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旧来のお屋敷街は高台に位置することも多く、足回りの利便性は必ずしも良くない |
長く住むということを考えると、駅近が◎。各種設備が揃い、多様性、活気が損なわれにくいのはもちろん、高齢になっても動きやすいからです。住宅を購入した20代、30代ならいざ知らず、中年以降に駅から15分は辛い。実際、都心部のタワーなどに移り住む高齢者の多くは、不便な郊外の一戸建てを手放しての住み替えなのです。同じ理由から、できるだけ平坦な土地がお勧め。毎日歩いていれば慣れると思うでしょうが、高齢化による足腰の衰えは慣れだけでは克服できません。
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同じ再開発エリアでもどんな立地か、どんな歴史があったかなどで成否は異なってくる可能性も |
現在行われている再開発は住宅や住民層の多様性をよく考えてあります。住民同士がコミュニティを作り、自らも街作りに参加できるようにもなっています。ですから、ニュータウンのように、急速に活気を失う可能性はかなり少なくなっています。とはいえ、まだ誰も経験したことのない、少子化、高齢化が始まるのです。注意の上にも注意して、住む場所を選んでいただきたいものです。