足回り、生活の便利さは沿線有数
駅前商店街には平日でも1万人を超す人出
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新宿から甲州街道をまっすぐ、環八を越えると、もう千歳烏山はすぐだ |
千歳烏山は京王線急行で新宿から15分。快速、通勤快速なども停車する駅なので、都心へのアクセスの便利さは沿線でもトップクラス。明大前で乗り換えれば渋谷へも20分ちょっとです。駅の北側を走っている甲州街道からは、環八、首都高新宿線の高井戸ICも近く、車での足回りもらくらくです。
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商店街ではセール以外にも毎月のようにイベントが行われている |
その足回りの便利さに加え、初めてこの地を訪れた人が驚くのは、駅周辺の商店街の活気。駅の南北にひろがる、延長約1.7kmのえるもーる千歳烏山(烏山駅前通り商店街)には100余の店が軒を連ね、安さを競っています。この商店街は昭和40年に日本で初めて、お買い物スタンプ制度を導入したことでも有名で、このスタンプが今も商店街の活気を支えています。加盟店で買い物をすると、100円で1枚のスタンプがもらえ、集めると、旅行やミュージカルなどのチケット、成人病検査などに使えるそうで、この街の第2通貨といってもいいほどの普及ぶりだそうです。
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駅前にある烏山区民センター。建物前の広場はイベントなどに利用されている |
また、駅の近くには世田谷区の区民センター、烏山総合支所があり、区役所に行かなくとも、たいていの用事は済みます。区民センターには烏山図書館が、総合支所の地下1階には夜間休日の、小児科・内科の救急診療所が入っている点も便利です。
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どこの駅でも放置自転車は目にするものの、台数の多さにはちょっとびっくり |
ただ、便利さ、物価の安さはいいのですが、ひとつ、マイナスなのは、商店街や公共施設周辺に路上駐輪が多いこと。このあたりは平坦な土地で自転車利用が苦にならないこと、駅から離れたところに住宅が多いことの結果なのですが、災害時にはどうなるのか。ちょっと心配です。
甲州街道以北には、
自然と歴史を感じられる街が
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道の左手、世田谷区が保護している屋敷林にはケヤキの巨木などが残されている |
駅から甲州街道を渡ると、街の風景は一変します。武蔵野の原風景といえばいいのでしょうか、ケヤキの巨木のあるお屋敷などが道沿いに現れ、一歩入ると、農地なども。そこで収穫されたものを、直売している小屋などもあります。
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細い道の両側に寺院が並ぶ。ガイドブック片手にした観光客の姿もみかけた |
さらに、北側には、関東大震災後にできた烏山寺町があります。ここは震災後の区画整理で浅草、築地、深川などの寺院が移転してできたエリアで、寺町通り、松葉通りを中心に、住宅街の中に26もの寺院が点在、独特の雰囲気を醸し出しています。桜や紅葉が美しい場所でもあり、駅前の賑わいを思うと、ほんの少し歩くだけで、これだけ違う表情のあることが不思議なほど。寺町の中には江戸時代の作家為永春水や、浮世絵師喜多川歌麿などの墓もあるそうですから、歴史に関心のある方なら、楽しい散策コースでしょう。
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寺町通りの一番奥にある高源院の鴨池は世田谷百景にも選ばれた、この地の自然の象徴的風景だ |
また、この街は、日本で最初に、住民が自らの街の自然環境保全に取り組むことを宣言したほど、住民意識の高い街でもあります。昭和54年には、世田谷区と烏山寺町の間に緑の保護と回復をはかり、相互に協力しあって、豊かな住環境を作ることを目的して、「みどりのモデル地区協定」が締結されてもいます。住む人の努力で守られてきた自然というわけです。
私立校に加え、
個性ある公立小中学校も点在
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意外に大きな公園は少ない千歳烏山周辺。こちらは駅南側の小公園 |
千歳烏山には駅の南北に私立の女子中、高、大学などがあり、街中には学生の姿が多く、それが活気の原因のひとつにもなっています。世田谷区は日本語教育に力を入れており、2006年に日本語教育特区に認定されていますが、この地域の公立学校は、それに加え、学校独自の教育を行っている点が特徴です。
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国語教育に力を入れる、烏山北小学校は世田谷区初の、芝生の校庭がある学校だ |
たとえば、年に30回の読書タイム、同じく100回(!)ものお話会を通じて本に親しむ教育、4月~10月の休み時間、体育の授業中ははだしで過ごしたり、給食後の歯磨きを行うといった特色ある健康教育などなど。区内はもちろん、全国的にも強い運動部のある中学校もあります。住んでいる人に聞くと、先生方の熱心さに加え、住民に、学校や子どもたちに対する強い関心があることも、教育レベルに寄与しているのではないかとのこと。防犯面でも、子どもを見守る目が多いと聞きました。
では、次ページでは気になる住宅相場について見ていきましょう。