操車場跡地が再開発で
川崎の副都心、新しい街へ

南武線
川崎と立川をつなぐ南武線。武蔵小杉、溝の口、登戸で都心に向かう私鉄と交差して走る
今回、取り上げるのは、川崎駅から南武線、横須賀・湘南新宿ラインで多摩川を遡上したエリア。区で言えば、川崎市幸区を中心に、一部中原区、横浜市鶴見区が混在する地域になります。駅でいえば、南武線矢向、鹿島田、平間、横須賀線・湘南新宿ライン新川崎で、メインとなるのは鹿島田、新川崎の、川崎の副都心と位置づけられるエリアです。

南武線鹿島田駅
鹿島田駅。線路沿い、右手にあるのが大規模マンション「サウザントシティ」。正面は府中街道まで続く商店街
この地域を知るために、歴史を振り返っておきましょう。最初に南武線鹿島田駅ができたのは、1927年。それに続き、1929年には西側、鹿島田駅から歩いて5分ほどの場所に、品鶴線(品川と鶴見を結ぶ貨物線)の新鶴見操車場ができます。これが現在も新川崎駅の横に広がる広大な土地です。

横須賀線新川崎駅
横須賀線新川崎駅。背後に見えるツインタワーが新川崎三井ビルディング、その奥に「パークシティ新川崎」が広がる
その後、品鶴線が旅客化、横須賀線となるとともに、操車場脇に新駅、新川崎駅が誕生します。これが1980年のことです。これによって、この地域は、東京、横浜、川崎と3大ターミナルにアクセスできることになり、利便性は一気に向上。開発が始まります。最初に登場したのは、2路線の間にあった工場跡地を利用した大規模物件「パークシティ新川崎」(1988年)、次いで2棟のツインビル「新川崎三井ビルディング」(1989年)。「パークシティ新川崎」は1700余の戸数がある大規模物件で、20年近く経った今も人気の物件です。

操車場跡地
2007年時点で建設中だったマンションは隣地も含めてすでに完成、街並みは大きく変わった
また、新川崎駅誕生からほどなく、1984年には新鶴見操車場が廃止され、約42haが遊休地化します。利便性の高い場所だけに、川崎市は当初ドーム型運動施設を建設しようとするなど、さまざまな計画を検討してきましたが、最終的に計画がまとまったのは2005年のこと。計画では、広場や研究開発施設、住居、生活利便施設などが配される複合的な機能を持った、新しい街が生まれる予定です。

もちろん、その間にも開発は進んでおり、2004年には南武線に沿ってショッピングモール、クリニックモールを併設した大型マンション「サウザンドシティ」が登場、地域のお買い物事情を大きく変えました。

現在工事中の歩道橋

新川崎駅の脇で現在工事中の歩道橋。歩車分離が行われ、安全になる(クリックで拡大)

また、2008年から2010年にかけては新川崎駅の西側に複数の大規模マンションが誕生、スーパーやスポーツジムなども誕生しました。現在、新川崎駅から西側へは2013年度完成の予定で歩道橋が建設中で、これができると鹿島田駅と新川崎駅を中心に両駅の東西の一体性がまし、開発にも拍車がかかることと期待されます。

 


創造のもりエリア
新川崎は住居だけでなく、ビジネスや研究開発の拠点としても計画されている
住宅だけではなく、地区内の創造のもり地区にはK2タウンキャンパス(慶應義塾大学の産学共同研究施設)、かわさき新産業創造センター(研究開発型企業のインキュベーション施設)なども作られており、ビジネス、研究開発の新しい拠点としても位置づけられています。

 

花壇とビル

公園内にはいくつかのコーナーに分かれており、それぞれに異なる表情を見せる(クリックで拡大)

このタウンキャンパスに隣接するさいわいふるさと公園も2011年4月にオープンしています。細長い公園内には、自然を生かしたビオトープや雑木林、地元のボランティアが担当する花壇やプレイパークとしても利用されるわんぱく山などがあり、子ども達の良い遊び場になっています。

 

プレイパーク

子ども達が自由に自分たちの責任で遊べるプレイパーク。意外にまだまだ作られているところは少なく、先進性を感じる(クリックで拡大)

特に注目したいのはプレイパーク。これは子どもたちが思いっきり遊べるように、極力禁止事項をなくし、自分の責任で自由に遊ぶことを大切にするという活動で、安全確保のため、ボランティアのスタッフが子ども達と一緒に遊ぶのが一般的。公園を作ること自体はそれほど難しいことではないでしょうが、そこに地元のボランティアを集めるのは、地域にコミュニティがなければできないことです。その意味では開発から20年以上の時間が経ち、元からの住民も含め、コミュニティがいよいよ成熟してきたというなのではないかと思います。

駅前商店街にショッピングモール、
街道沿いには大型店も

商店街とサウザントモール
商店街とスーパー、ファーストフード店、クリニックが入ったサウザントモール
次に、実際にこの地域を歩いてみましょう。まずは鹿島田駅。ここから府中街道にかけては古い商店街があり、駅すぐ脇には前出のモールが。モール内にはスーパー、ファーストフード店もあり、日用品なら一式揃うという印象です。商店街には八百屋、肉屋、パン屋に弁当店、コンビニなど、こちらもとりあえず、一通りの店はあるといったところ。最近では子育て世代が増えたためか、学習塾、予備校などが増えています。

再開発エリアに面した住宅街
新川崎で開発されているエリア周辺は住宅中心でたまにコンビニがある程度だったが、右側のマンション内に商業施設ができ、買い物環境は大きく変わった
新川崎駅周辺にも飲食店が並ぶ、小さな商店街らしき通りがありますが、率直なところ、買い物の役には立ちません。新川崎駅から跨線橋を渡った辺りはこの数年で大きく変わり、2007年にこの記事を作った時点ではコンビニスストアが1軒あるだけでしたが、今では前述の通り、マンション内にスーパーやクリニックなどができ、だいぶ、便利になりました。

新川崎周辺の住宅街
駅周辺の大規模マンション以外は小規模な集合住宅、一戸建てが多い
いずれの地域も商店街から少し入ると、小規模なアパートや一戸建てが多い住宅街で、いたって静か。住宅街の中には神社や銭湯などもあり、古くから開発されてきた街であることが分かります。

ラゾーナ川崎
仕事をしている主婦の場合、帰りに川崎で買い物というパターンが多いそうだ
地元の人に聞いてみると、駅近くで買う以外では、川崎で買うか、車利用で、近くの大型ディスカウント店、スーパーでまとめ買いをすることが多いとか。この地域での車の必要性はかなり高いと思われます。

では、次ページでは気になる住宅事情を見ていきましょう。