住みたい街 首都圏/キケンな街の見分け方

東京で一番地震に弱い街はどこ?(3ページ目)

東京都が5年おきに行っている「地震に関する地域危険度測定調査(第7回)の結果が出ました。都内の全町丁目を5段階に分けて危険度を表示しているのですが、地域によって危険度は大きく違います。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

総合危険度
危ないエリアは意外に広範に分布

危険度

危険度5の地域は全体の1.6%となっている


続いては総合危険度。建物倒壊危険度、火災危険度を総合的に勘案したもので、当然ですが、双方の危険度がともに高かった荒川、隅田川沿いのいわゆる下町地域一帯に分布しています。具体的には、足立区南部から荒川区、台東区東部、葛飾区西部、墨田区、江東区北部、江戸川区北部に広がる地域です。また、品川区南西部や大田区にも、低地かつ路地に老朽化した木造家屋が残るエリアなどの危険度が高いようです。

墨田3丁目あたり
墨田3丁目周辺は小規模な工場や住宅が点在するエリア。少し入ると細い道も
具体的なランキングでは荒川区町屋4丁目がトップになっており、以下、下町エリアが大半を占めます。

といっても、この調査で上がった町丁目内はどこも同じように危険というわけではありません。区画によっては通りに面し、耐火構造の建物があるような場所もあるはずですから、これから家を探すのであれば、他の場所で探す際よりも物件周辺のチェックを入念にすることで、少しでも危険を回避するようにしたいところです。

総合危険度を図化すると……。
各区の詳細も見られるので必ずチェックを

京島地区の街づくりの看板
危険度が高いといわれている墨田区では防災に力を入れており、京島地区でもあちこちで道路の拡幅や袋小路の解消などの工事が進められており、年々安全な地域が拡大している
最後に今回新たに付け加わった指標、災害時活動困難度です。これは幅員6m以上の道路まで到達するのにかかる平均的な時間と、幅員4m以上の道路から容易にアクセスできない範囲が町丁目面積に占める割合を掛け合わせた値に基づき測定したもの。つまり、細街路が多い町丁目ほど不利になる指標です。全体的な傾向として多摩地区が有利で、台東区や千代田区東部、中央区北部などの都心では困難度が高いという結果になっています。

 

総合危険度を図化したもの

総合危険度を表した地図。実際の都庁ホームページ内ではこの地図から各自治体の詳細情報を見られるようになっている(クリックで拡大)

この状況を図化したのが右。東京23区で建物倒壊・火災危険度・災害時活動困難度を考慮した総合危険度が5段階中4、5にあたる地域を「危険度の高い地域」とし、色・パターン別に表しています。ここまでの記事ではランキングで上位に来る町を中心に取り上げましたが、実際に各区の地図を見てみると、安全な場所ばかりという自治体は少なく、どこかしらに危険がありますので、ここまでに取り上げられていなかった場所に住んでいるから安心というわけではありませんので、念のため。

また、地図中に記載はありませんが、多摩地域でも武蔵野市吉祥寺北町1丁目(火災危険4)、西東京市泉町5丁目(火災危険度4)が総合危険度が高くなっており、注意が必要です。

今回の調査報告は東日本大震災を受けて、街の安全に関心を持つ人が増えたせいでしょう、前回よりも解説部分が非常に丁寧で分かりやすくなっています。我が家の安全を考え、減災を図ることは自分と家族にとって大事なだけでなく、地域にとっても、他の被災地復興を支援するためにも重要なこと。これから家を買う、借りるなどという人だけでなく、すべての人に一度はチェックしてみていただきたいものです。

*2012年6月初出の記事に2015年3月加筆修正。

【地震の危険を避ける街選びのために】
「地震時に危ない場所は見えている」
「災害に強いのは燃えない、逃げられる街」
「地震に強い街に住みたい」
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