建物倒壊危険度
危ないのは地盤が弱い下町エリア
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荒川を挟んで対岸が墨田区。その向こうには隅田川が流れている |
建物倒壊の危険度が高いのは地盤が弱くて揺れやすく、古い木造住宅や軽量鉄骨造が路地を挟んで密集している荒川・隅田川沿いのいわゆる下町地域度。具体的には足立区南部から荒川区、台東区東部、葛飾区西部、墨田区、江東区北部、江戸川区北西部となっており、逆に地盤が強固で揺れにくい丘陵地帯にあたる多摩地域での危険度は低くなっています。
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荒川に近い京島周辺は道が細く、古い木造住宅も多い |
同調査では危険度上位100町丁目までを発表しており、それによると危険度5の最も危ない地域は84町丁目。うち、トップは墨田区京島2丁目で、墨田区は19町丁目、台東区16町丁目、足立区14町丁目、江東区14町丁目、荒川区12町丁目、葛飾区4町丁目などとなっています。西側では大田区の3町丁目があります。
火災危険度
環七沿い、中央線沿線エリアに危険信号
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道が細い、公園など延焼を防ぐスペースがないなども火災の危険度を高める |
火災危険度は出火と延焼の危険性から測定されていますが、危ないのは木造住宅が密集している地域。環状七号線沿いにドーナツ状に分布しており、加えて中央線沿線にも多いのだとか。具体的には、江東区北部から墨田区北部、葛飾区西部、足立区南部、荒川区、北区、台東区東部に広がる地域で、品川区南西部・大田区に広がる地域などでも危険性が高くなっています。こうしたエリアは戦災で焼失しなかったために建物の更新が行われず、古い建物が残されてしまったもの。さらに細い、消防車の入れないような路地に面していると危険は高まります。
最近では空き家のまま、放置される建物も増えており、危険度は決して低くなってはいません。空き家は手入れが行き届かないため、同じ築年でも倒壊の危険は高くなりますし、そこから出火した場合、初期消火に当たる人がいないため、延焼もしやすいと言われます。また、ここでも建物倒壊度同様、多摩地域での危険度は低くなっています。
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品川区豊町あたりには袋小路や車が入らない細い道も少なくない |
こちらの危険度は5年間で大きく様変わりしました。前回トップは品川区都豊町5丁目で、品川区には危険度5の町丁目が19にも及んでいました。しかし、今回のトップは足立区千住柳町で、品川区で危険度5はわずか4町丁目。大きく改善されています。同様に前回11町丁目あった中野区も今回はわずか1町丁目です。
逆に目立っていたのは足立区の20町丁目、荒川区の14町丁目、墨田区の12町丁目、江東区の7町丁目など。これらは路地の多いエリアが中心となっており、建物を更新しにくい場所の火災危険度が高まったということでしょう。足立区ではこうした建物の建替えを促進するため、地域を限定して接道の幅が足りない場合でも工事を可能にするような特例措置を打ち出していますが、高齢居住者が多いこともあり、思ったほどには改善されていない様子。今後のさらなる施策に期待したいところです。
続いては総合的な危険度を2つの指標から見ていきます。