予算内でのベストの探し方は
「鶏口となるも牛後となるなかれ」
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どんな街にもその街一番がある。全国レベルで一番の街が狙えなくても、そうしたエリアを狙えば予算内ベストは探せる |
国語の教科書のような書き出しですが、限られた予算内でできるだけ資産価値の高い街、物件を探すときの基本はこの「鶏口となるも牛後となるなかれ」。言葉の意味は史記の中にある蘇秦伝によるもので、大きな団体で人の後についているよりも、小さな団体でも頭(かしら)になるほうがよいというもの。これを不動産に言い換えれば、その地域の中の一番を目指せ!ということになります。
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いくら価値が高くても都心で子育てはちょっと、という人もいるはず。そのときは沿線ナンバーワンを目指そう |
首都圏で資産価値が高いとされている場所の多くは都心ですが、それが無理としたとき、次に狙うべきはそれぞれの沿線で人気の駅です。中央線なら吉祥寺、東急田園都市線の都内部であれば駒澤大学か二子玉川、神奈川県内であればたまプラーザといった街です。しかし、今ではそうした街も価格が上がっていますから、なかなか難しいことも。その場合は同じ沿線の他の駅を人気の高い順に見て行き、その中でできるだけ駅に近い場所で買える街を探しましょう。
都心から20分+徒歩15分より、
都心から30分+徒歩5分を選べ
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駅から徒歩5分以内であれば売りやすく、貸しやすい可能性が高い。駅前再開発に人気が集まるのはそうした要因もある |
ここで覚えておいていただきたいのは、都心から20分、駅から15分の住まいよりも、都心から30分、駅から5分の住まいのほうが価値が高いことが多いという点。
前編でご紹介した駅からの距離圏による希少性の違いを思い出してください。もちろん、駅前に何もない都心から30分は問題ですが、駅前に商業施設のある30分なら、ドアツードアの通勤時間は同じですし、生活面でも便利。さらに駅から徒歩5分圏であればどの街でも比較的貸しやすいからです。
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駅から10分、20分離れていても人気のある世田谷区深沢周辺。静かな住宅街に学校などが点在する |
ただし、場所によっては駅から離れていても人気のある街もあります。例えば世田谷区の等々力や岡本、深沢、赤堤などは駅から10分、20分とかかりますが、それでも名まえのステイタスが強く、ウェイティングリストのある中古もあるとか。新築が少ない人気エリアではこうした中古を狙うのも手かも知れません。
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新線や新駅でこれから便利になる街を先物買いというのも手。今は多少不便でも5年後、10年後に期待ができるならOKだろう |
また、予算内では当初考えていた沿線の人気駅も、その他駅での徒歩圏の購入も難しいという場合には沿線を変えてみること。同じ新宿をターミナルとする路線でも中央線より他の私鉄2線のほうが安めですし、少し離れた西武新宿をターミナルとする西武新宿線であればさらに安くなります。また、通勤先にもよりますが、ターミナルを変えて考えられるならそれも有効。
「住宅価格が高い街は住みやすいの?」で説明したとおり、首都圏の相場は西高東低。西側の人気のある沿線より、東側の沿線のほうが手頃に購入できるのです。
どこの街にもその街一番のエリアがあります。当初考えていた場所と違ったとしても、選んだ街で一番のエリアが選べれば、それが予算内でのベスト。どうしてもこの沿線、エリアと決め付けず、利用可能な他の沿線、エリアも含め、広い視野で街を歩き、自分も家族も好きになれてかつ価値の高い街を選んでいただきたいものです。
ちなみに、同じ建物内、敷地内にも人気の高い、売りやすく貸しやすい住戸はありますが、それはこのサイトのテーマではないので省きます。ご了承のほどを。
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