「コレステロールが高い」と言われたら……
前ページで述べたように、「コレステロールが高いと血管が詰まりやすくなる」という研究結果があったとしても、高血圧や糖尿病などの方がより大きな危険因子なので、高コレステロールばかりを心配し過ぎる必要はない、という説があります。しかし、小さな危険因子でも、重なると何らかの疾患になる確率は高まるので、注意する方がよいでしょう。特に以下の3つのパターンの場合は、高コレステロールの場合の治療方針がある程度確立されています。まずは下記の3パターンに該当しないかをチェックして、自分のコレステロールをどう管理していくかを考えましょう。
■親兄弟を含め、コレステロールや中性脂肪が高い場合
親(母または父)と兄弟含めてコレステロールや中性脂肪が高いと言われた場合は、「家族性高脂血症」の可能性があります。この場合は薬物治療の効果が期待できます。特に家族歴(祖父母、両親、兄弟などの血縁)に、狭心症や心筋梗塞などの心疾患がある場合は、高コレステロールであることのリスクが高いと考えられるので、薬物治療を考慮すべきです。血中の脂質を下げる薬自体、もともとは家族性高脂血症の予防・治療のために開発されたのです。
■男性で、高血圧や糖尿病があり、コレステロールも高い場合
この場合もコレステロールを下げる薬の服薬を考慮して良いと思います。ただし、すでに他の病気がある分、服薬する薬の種類が多くなるので、薬剤障害になる危険性も高くなります。他の疾患を含め、どう治療していくのがベストか主治医と相談しましょう。
■閉経前の女性で、コレステロールだけが高い場合
閉経前の女性は「介入試験」の対象とされないので、服薬の効果があるというはっきりとした根拠は出せません。ご利益があるかの根拠がなく、一方で服薬には必ず何らかの副作用などのリスクが考えられるため、個人的には薬物治療は勧めません。喫煙者の場合はまず何よりも禁煙することを勧めます。禁煙してコレステロール値の変化を見ることが先決です。もともと喫煙者でない場合、「家族性高脂血症」でなければ、そう気にする必要はないでしょう。
「魚からの脂質を摂る」のは有効な健康法
上記パターンに当てはまらない高コレステロールの人は、まずは少しだけ生活の工夫をしていくのがよいでしょう。「コレステロールが高いので、食生活に気をつけている」という人は多いものですが、実際は食事による摂取量よりも、肝臓で合成されるコレステロール量の方が多いので、食べ物に含まれるコレステロール量はそこまで気にする必要はありません。もちろん、極端に偏らなければという話ですが……。高コレステロールを招く悪玉のように言われている卵に関しても、血中コレステロールの増加には、さほど関係ないとされています。
実践しやすい食生活の工夫で、現時点で有効だと考えられているのは、魚からEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)を摂るということでしょう。この2つの成分については、血管が詰まる疾患を予防するという報告があるので、「血管がつまりやすくなる」という特徴を持つ高コレステロールに対処するには、よい方法だと考えられます。
ガイド個人のコレステロールの対処法
マーガリンよりバター派! 「極端にコレステロールをあげないように」、避けるべき食品を避けています
まず、自然界には元々少量しか存在していない「トランス脂肪酸」は、コレステロールを上げる悪玉でもあるので、なるべき避けるようにしています。トランス脂肪酸であるショートニング、マーガリンを含む食べ物は、原則として購入しません。食用油に関してはオリーブオイルを使用しています。EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)に関しては食事から摂るべきと考えています。卵に関しては気にせず食べていますが、いわゆる「マヨラー」のようにマヨネーズを大量にかけるようなことはしないよう、気をつけています。
最後のページでは、「悪玉コレステロール」「高脂血症」について、より理解を深められる健康知識について解説します。