血中にある本当の悪玉候補

実は「悪玉コレステロール」という医学用語はありません。非常に説明が難しいので詳細は省きますが、本当の悪玉候補を2つ挙げておきましょう。

■small dense LDL
量的変化ではなく質的変化があると認められるコレステロールを多く含む「粒子」があります。通常はこの質的な変化については測定していませんが、この粒子こそ、動脈硬化と関係があるとされています。検査項目では「small dense LDL」と呼ばれているものです。

■レムナントリポ蛋白
もう一つは、食後に血中で増加する脂質の一部。これも動脈硬化と関係があるとされています。通常の採血は空腹時に実施しているので、測定自体行われていません。検査項目では「レムナントリポ蛋白」と呼ばれているものです。

上記2つの成分が動脈硬化を招くいわゆる悪玉候補です。

人類はみんな高脂血症?

血中の物質は、ある程度遺伝の影響を受けます。少なくとも、私たちより一つ上の世代が生殖可能年齢まで生きられたからこそ、私たちの世代が存在しているのですから、私たちも生殖可能年齢までは無理なく生存できる可能性が高い遺伝形質をもともと持っていると言えます。

「家族性高脂血症」の遺伝が淘汰されないのは、少なくとも生殖可能年齢までは生存できるからです。血中にある測定可能な物質がどの程度の範囲内にあるかは統計的に解析が可能です。一方、血中濃度を測定して統計解析した結果から導きだした基準値と長寿は直接関係ないとも言えます。

血中の物質がどの程度あるべきかを考えると、別の見方ができます。今回の記事は脂質の話ですが、ヒトはもともと、血中のコレステロール(LDLコレステロール)が高い動物(哺乳類)とされています。人類と一緒に暮らしていて、人類と同じく雑食に近い犬のLDLコレステロールは、ヒトの数分の1しかありません。実はLDLコレステロールに関しては、体の細胞が必要な量から計算した理論値があります。これによると、ヒトの場合も本来は犬のコレステロール値と近い値でよいと考えられています。血中に、実際の生命活動には不要なほど、過剰な脂質を持っているという点では、「人類皆高脂血症」と言うこともできるのです。
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