阿佐ヶ谷文士村の名残りを残す、
夜の遅い街
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飲食店、スナックなどが並ぶ路地。駅南北のあちこちにこうした通りがある |
パールセンター以外にも駅周辺には商店街、飲食店街が多く、中には全国的に有名な焼き鳥屋さんや中華料理店、和菓子店などもあり、飲食、買い物には事欠きません。夜が遅い店も多く、深夜1時、2時でもどこかで食べられる、飲める街です。飲食店が並ぶ路地もあちこちにあり、昭和の雰囲気が楽しめます。
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阿佐ヶ谷の文化を代表するもうひとつの存在が北側にあるラピュタ阿佐ヶ谷。劇場、映画館にレストランを備えた瀟洒な建物だ |
また、街で目に付くのが古書店も含めた書店。これは関東大震災の後に井伏鱒二、与謝野晶子、太宰治、三好達治などといった文人が移り住み、阿佐ヶ谷文士村と言われた当時からの伝統を今に伝えるものだそうで、往時は阿佐ヶ谷会なる文士の親睦団体もあったのだとか。杉並区阿佐ヶ谷図書館が平成5年に作った阿佐ヶ谷文士村名簿には80人を超す文化人が名を連ねています。
このほか、阿佐ヶ谷には音楽を売りにした飲食店やクラシカルな雰囲気の喫茶店などが多く、どこかしゃれた、大人の雰囲気があります。お隣高円寺にボリュームの多さを誇る飲食店や手頃な価格の古着店が多いことと比べると、落ち着いた雰囲気があるのです。そのためか、中央線でも高円寺、中野がどちらかといえば男性に人気なのに比べると、女性好みという印象もあります。ここ2~3年、鯛焼きやドーナツの店が増えたと聞きましたが、これも女性をターゲットにしているといえそうです。
細い路地に古いアパート、
瀟洒の一戸建ても点在する住宅街
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住宅街の中に入ると、こうした細い道がいたるところにある |
さて、住宅街を歩いてみましょう。杉並区の住宅街は都市計画で作られてきたというよりも、自然発生的にできたところが多いため、通りを除けば道幅が細い場合が多く、それは阿佐ヶ谷も同様。中には人一人がようやく通れるような場所もあり、そうした場所では小規模な一戸建て、古いアパートなどが中心になっています。
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土地面積で言えば、50坪、100坪といった一戸建てが目に付く |
しかし、それ以外の場所では昭和の面影を残す一戸建ても多く、豪壮とまでは行かないものの、庭らしい庭のある住宅も少なくありません。アニメファンには宮崎駿監督がモデルにしたと言われる昭和初期の洋館があることが知られているそうです。低層の住宅街には古い教会や神社、巨木の残された家などもあり、まとまった緑地や公園はほとんどないものの、緑が多い印象を受けます。
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教育、環境など独自施策でも知られる杉並区。昨年夏は庁舎がゴーヤのカーテンで覆われていた |
また、青梅街道沿いには区役所、郵便局や都税事務所など区の行政施設が集まっており、その点でも暮らしやすそうです。
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何でも揃う阿佐ヶ谷ながら、唯一住環境で足りないものを挙げるとすれば公園だろう |
ただ、冒頭に挙げたように、細い路地が多いエリアは防災面からはあまりお勧めではありませんし、地名が浅い谷地に由来することからも分かるよう、駅南側は窪地になっており、豪雨の際には浸水する場所も。近いところでは平成17年9月にも駅近くの飲食店の浸水がニュースになったものです。場所によっては自然災害には注意したほうが良いというわけです。
最後は気になる阿佐ヶ谷の住宅事情。話題の再開発情報も取り上げます。