東京メトロ直結で
都心に近い街、西新井
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西新井大師門前の通り。草団子が名物で、古い甘味どころなども残っている。ちなみに大師前駅は無人駅 |
東京メトロ日比谷線、同半蔵門線が乗り入れる東武伊勢崎線西新井。地名は西新井駅の西、約1キロほどの場所にある西新井大師によるもので、江戸時代には厄除け祈願で多くの行楽客を集め、現在も毎月21日を中心に縁日が開かれています。しかし、今も門前町の風情を残す西新井大師周辺と異なり、現在の西新井周辺はここ数年で大きく変化、かつての工場跡地が大規模マンションとなり、広大な公園を有する新しい街となっています。
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西新井駅。駅直結の東武ストア、駅ビル西新井トスカがあり、ここだけでも日常的な買い物ができる |
ただし、初詣客の多さではベスト3常連の川崎大師に比べると、現在の知名度ではやや分の悪い西新井大師同様、西新井も知名度的にはいまひとつ。しかし、足立区全体で見るとちょうど中心部にあり、お隣梅島は区政の中心地。西新井も再開発で大規模商業施設、マンションなどができ、人口増が著しく、買い物客も増えているという地域です。東武伊勢崎線に乗り入れている東京メトロ日比谷線、同半蔵門線が利用できるため、直通で主要オフィス街にアクセスできますし、北千住ほど構内が混雑しないことから乗換駅としての利用も多いとか。周辺には環状七号線、尾竹橋通り、日光街道など幹線道路も走り、利便性から考えると、穴場的な場所というわけです。
取り上げているのはこのエリア
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西新井と周辺の位置関係図。幹線道路にも近く便利な立地だ |
団地、マンションが多く、
物価の安さも際立つ
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URの団地だけでなく、都営住宅なども多い。写真は都営梅田アパート内の公園から東武伊勢崎線沿いの大規模マンションの眺め |
江戸時代以降、近郊の農村だったこの街が住宅街として注目され始めたのは関東大震災以降。この頃から西新井、梅島エリアでは人口が増加し始め、足立区の他地域でも第二次世界大戦以降人口の増加を見ています。農村を市街地に改造する区画整理も多く行われており、地元で結成する区画整理組合の施行数は23区中第1位。自分たちの街を自分たちで変えていこうという意識の高い街というわけです。
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西新井駅東口側にあるスーパー。住宅展示場、区の文化ホール、ギャラクシティなども近くにある |
区画整理と共に増加したのが集合住宅の建設です。昭和33年(1958年)の西新井第一団地(現フレール西新井第一)を皮切りに区内各地には団地が多数建設されており、西新井周辺にも5ヵ所の団地が作られています。もちろん、民間の集合住宅もありますから、そうした人たちを対象にスーパーの進出が相次いだのは自然の流れ。西新井駅周辺だけでも大手スーパーが数件以上があり、価格競争にしのぎを削っています。
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商店街の中でも賑わう関三通り商店街。八百屋さんには周辺からの買い物客が押し寄せる |
物価の安さは商店街も同様。西新井と梅島の間には関原銀座会、関原イーストロード商店街、関三通り商店街、関原不動商店街など複数の商店街があり、それぞれがしのぎを削っています。いずれも細い通りに面した、個人商店が中心の商店街で、中にはほとんどの商品が100円という店もあるほどの安さが評判。自転車などでわざわざ区内の他の地域から買いに来る客も目に付きました。また、西新井大師以来の古い街だからでしょう、呉服店や佃煮屋さん、煎餅屋さんなど、新しい街にはあまり見られない業種が生き残っているのも西新井らしいところです。逆に西新井駅前は子どものいる世帯増に合わせて進学塾、予備校などが多く進出しています。
続いて次のページでは西新井の再開発エリアの様子と住宅価格を見ていきましょう。