紅葉を先取り! いろは坂から中禅寺湖、奥日光へ
夏から秋へと季節が変わった時、旅のテーマに加わるのが紅葉。美しく色づく木々に描かれた風景は、訪れた人たちに他の季節とは異なる特別な印象を残してくれますね。今回は紅葉の名所の中から、日光のいろは坂と中禅寺湖(ちゅうぜんじこ)、奥日光の紅葉をご紹介します。
紅葉の時期は多くの観光客が集まって長い渋滞が起きることも、季節の風物詩としてニュースに取り上げられるほどの人気のスポット。そんな渋滞を覚悟してでも見に行きたい素敵な風景が待っています。
<目次>
上りと下り合わせて48のカーブ、紅葉も楽しめるいろは坂
いろは坂(Googleマップ)は、日光市(栃木県)と沼田市(群馬県)を結ぶ国道120号線の中で、日光市街と中禅寺湖を結ぶ坂道につけられた愛称です。 いろは坂の原型は、中禅寺湖の畔にある中禅寺や日光連山の霊峰である男体山(なんたいさん)へ向かう人たちが歩んでいた道。大正時代に車が通れるように整備され、1954年(昭和29年)には日本で2番目の有料道路となりました。 その後、1965年(昭和40年)に中禅寺湖方面の上り専用ルートとして第2いろは坂が開通。今までのいろは坂は、第1いろは坂として日光方面への下り専用ルートに変わりました。1984年(昭和59年)には無料開放され、国道120号線として使われています。日光市街の標高は500メートル前後、それに対して中禅寺湖の標高は1269メートルと実に800メートル近くの標高差があるのですが、いろは坂はそのうち約500メートル分をカーブが連続するつづら折りの坂道で上り下りします。 第2いろは坂(約9.5キロ)には20個、第1いろは坂(約6.4キロ)には28個のカーブがあって、各カーブに「いろはにほへと」の文字が1つずつ当てはめられています。日光から中禅寺湖まで往復して来ると「いろは歌」が完成するという趣向です。
それぞれのカーブには、何の文字のカーブを示す標識も用意されていますので、どこまで進んだかの目安にもなりますね。 日光や中禅寺湖のある奥日光は、関東地方の中でも比較的早い時期に紅葉が始まります。
いろは坂の周囲で見られる紅葉も美しいことから、例年見頃となる10月中旬~11月上旬にかけて多くの観光客が集まり、いろは坂は各地からやってくる車や観光バスで下から上まで渋滞するという状況に陥ります。 ちなみにガイドの経験では、10月中旬の週末で入口の馬返から明智平の駐車場まで全区間渋滞していて、通過に1時間半ほどかかりました。また文化の日(11月3日)の祝日では明智平の駐車場へ入場するまで2時間の渋滞にはまっています。
その分、ゆっくり移動するので周囲の車窓を楽しむことはできますが、同乗者がいる場合は長時間の乗車に備えて、いろは坂の入口にある馬返の駐車スペースで休憩を取ったり、ハンドルを握る時は前の車との車間距離など交通安全に十分な注意が必要になりますね。
明智平ロープウェイに乗って、絶景が見える展望台へ!
第2いろは坂には黒髪平と明智平に駐車場があり、車を止めて景色を眺めることができます。そして明智平(Googleマップ)からは、目の前の山上にある明智平展望台まで明智平ロープウェイが運行中。 ロープウェイの乗車時間は3分。標高1373メートルの展望台駅からは明智平展望台へ歩いていきます。 目の前に現れるのは、中禅寺湖と華厳の滝、男体山を一望できる絶景。思わず見とれてしまう景色です。 展望台に設置されている双眼鏡やデジタルカメラのズーム機能を使えば、華厳の滝が勢いよく流れ落ちるさまを間近で見ることも可能になります。 また明智平駅の2階から中禅寺湖の反対側を見ると、明智平の駐車場と眼下に広がる日光市街へ続く道、山並みの風景を楽しむことができますよ。 明智平ロープウェイの車窓からは、第1いろは坂のカーブのうねり具合も良く見えますので、ゆっくり楽しまれると良いでしょう。 標高差があるため、いろは坂の紅葉・黄葉の見頃と中禅寺湖周辺の紅葉・黄葉の見頃は一致せず、中禅寺湖周辺の見頃はいろは坂よりも1週間程度早くなります。例年だと10月中旬頃、華厳の滝周辺が紅葉・黄葉で染め上がる絶景を楽しむことができますよ。
なお明智平ロープウェイは上りの最終発車時刻が通常15時10分と早く、いろは坂の渋滞状況によっては最終便に間に合わなくなりますので、ロープウェイ乗車を考えている場合は早めの時間に向かうことをおすすめします。
また以前は中禅寺湖から第2いろは坂を下って明智平に行くこともできましたが、2019年から第2いろは坂が全区間上り専用と変わったことにより、中禅寺湖からはいったん第1いろは坂を下って第2いろは坂を登らないと明智平に行けなくなりました。
里よりも早めに色づく中禅寺湖の紅葉
第2いろは坂を登り切り、トンネルを抜けると中禅寺湖(Googleマップ)の畔に到着します。中禅寺湖は、国内で25番目に1番大きな湖で、火山である男体山の噴火によりできた湖。標高1269メートルという高所にあるので、日光の中でも一足早く紅葉が色づく所として知られています。
湖と紅葉を同時に見たいと思った時は、中禅寺湖の畔にある中禅寺・立木観音の横を通る道路・中禅寺湖スカイラインに向かいましょう。 終点近くにある中禅寺湖展望台(Googleマップ)では、眼下に中禅寺湖を望み、正面に男体山が見える状況で紅葉を楽しむことができます。また展望台に至る道路の途中でも違ったアングルで中禅寺湖と男体山と紅葉を見ることができますよ。
中禅寺湖湖畔に立つ古刹を彩る紅葉も楽しみましょう
日光連山の霊峰、男体山の麓に位置する中禅寺湖の湖畔には、古刹がそろっています。湖の名前にもなっている中禅寺(Googleマップ)は、世界文化遺産に登録された日光・輪王寺の別院。立木観音という名前でも知られています。境内に色づく木があるため、古刹の建物と紅葉をあわせて見ることができます。 同じく中禅寺湖の畔にある日光二荒山神社 中宮祠(ちゅうぐうし、Googleマップ)でも、境内に色づく木があり、紅葉を楽しむことができます。こちらも世界文化遺産に登録された二荒山(ふたらさん)神社の別宮にあたりますので、あわせて拝観すると良いですね。
奥日光の美しい滝と紅葉・黄葉の共演にも注目したい
中禅寺湖から先は奥日光と呼ばれるエリア。ここにも紅葉・黄葉が美しい場所が点在しています。 中禅寺湖から日光湯元温泉方面へ少し進んだ先にあるのが、竜頭ノ滝(Googleマップ)。中禅寺湖に流れ込む湯川が2本に分かれ、その流れが滝となって1本に交わる姿から龍を連想されたとのいわれがあります。 さらに湯川を遡った先にある湯ノ湖から流れ落ちているのが湯滝(Googleマップ)。落差70メートルの滝の両サイドを紅葉・黄葉が彩ります。奥日光エリアは中禅寺湖よりも標高が高いので、紅葉の見頃も例年10月上旬~中旬と早くなります。 ちなみに華厳の滝と竜頭の滝、湯滝をあわせて奥日光三名爆と呼ばれるとのこと。ゆっくり時間をかけて三名爆を鑑賞するのも良いですね。いろは坂から中禅寺湖、奥日光の紅葉をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。標高が高い所ですので、紅葉を愛でる際は暖かい服装を用意して出かけましょう。
この秋の紅葉狩りの行き先として、世界文化遺産「日光の社寺」に登録されたお寺の拝観とあわせて、いろは坂と中禅寺湖、奥日光へ出かけてみてください。
いろは坂、中禅寺湖、奥日光へのアクセス
地図:Googleマップアクセス:
<鉄道>
・東武鉄道 浅草駅、北千住駅から東武日光行きの特急「スペーシアX」「けごん」「リバティけごん」に乗車して、東武日光駅下車
鬼怒川温泉方面の特急「スペーシアX」「きぬ」「リバティ会津」等では、下今市駅で各駅停車に乗り換えて東武日光駅下車
・JR 宇都宮駅から日光線に乗車し、日光駅下車
または新宿駅・池袋駅から東武鉄道に直接乗り入れる特急「スペーシア日光」で東武日光駅下車
鬼怒川温泉行きの特急「きぬがわ」では、下今市駅で各駅停車に乗り換えて東武日光駅下車
・日光駅、東武日光駅から先 東武バス 中禅寺温泉行きまたは湯元温泉行きにに乗車します。
明智平:明智平展望台バス停下車
中禅寺湖展望台:中禅寺温泉バスターミナルで半月山展望台行きバス(季節運行)に乗り換え
立木観音:中禅寺温泉バスターミナル下車、徒歩20分
日光二荒山神社 中宮祠:湯元温泉行きバスで二荒山神社中宮祠バス停下車
竜頭ノ滝:湯元温泉行きバスで竜頭の滝バス停下車
湯滝:湯元温泉行きバスで湯滝入口バス停下車
※紅葉シーズンの時は、路線バスも渋滞に巻き込まれるため大幅に遅れることがあります。
<車>
東北道 宇都宮インターチェンジから、日光宇都宮道路で清滝インターチェンジに向かい、国道120号線へ。
※渋滞がひどい時は日光宇都宮道路の途中から渋滞に巻き込まれますので、大きく余裕を取ったスケジュールを組むことをお勧めします。
【関連サイト】
- All About 日光
- いろは坂(日光旅ナビ)
- 明智平ロープウェイ(日光交通)
- 中禅寺湖(日光旅ナビ)
- 中禅寺(立木観音)(輪王寺)
- 二荒山神社中宮祠(日光旅ナビ)
- 竜頭ノ滝(日光旅ナビ)
- 湯滝(日光旅ナビ)
- 日光旅ナビ
◇「紅葉・黄葉の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで紅葉の名所を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
◇「関東の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで関東の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。