先般発売された「プレジデント」2008年3.3号の表紙には「土地・マンションの新知識50」の文字。そのコピーに惹かれて手に取られた方も多いと思いますが、その中に「割安マンション」ベスト100という記事がありました。書かれたのは、マンション購入者向情報サイトとして有名な「住まいサーフィン」運営のアトラクターズ・ラボ社長沖有人氏。雑誌等でマンション系の特集の際に執筆されている機会も多く、ご存知の方もいらっしゃるはず。近畿圏からは10物件が選ばれていましたが、今回は沖氏の記事を参考に「割安マンション」と「住みやすい街」の関係を見てまいります。

「割安マンション」=高利回りマンション

賃貸業者店頭
高利回りとはすなわち「売買価格に比べて賃料が高い」という事。数多い賃貸物件の中で「高い」物件にはそれなりな理由がある
ところで「割安マンション」の定義ですが、今回の場合は「賃料÷売買価格」でみた利回りが高いものを「割安」としています。賃料に比べて売買価格が安ければ「割安」となるわけで、単に「単位面積当たりの価格が安いから割安」というロジックではないので、都心物件から郊外物件まで同様に比較ができます。販売時価格・周辺の新築価格・中古価格等を基準に相場が形成されていく中古マンションの売買価格は資産価値そのもの。「割安物件」=「資産価値に比べて賃料が高い」、ということで以下2点の仮説が考えられます。

1)賃貸ニーズが高い=住みやすい物件、である
マンション価格に比べて賃料が高いというのは、それだけ住みたい人が多いということ。「周辺に賃貸物件が他にないから賃料が高くなる」という考え方もありますが(たとえば「西宮名塩」)、取り上げられている地域では極端な賃貸物件不足もないので、単純に住みやすいという評価を受けている物件と考えていいでしょう。

2)借りるより買った方が得、である
かなり乱暴な言い方ですね。もう少し正確に表現すると「借りた場合の支払いと買った場合の支払いとを比較した場合、他物件よりお得である」という事。転勤等で賃貸に出すことなども考えると「利回り」が高いのは魅力です。
さて、そのような物件はどこにあるのでしょうか?またその特徴は??

「割安マンション」近畿ベスト10

少し、前置きが長くなりましたが、取り上げられていた物件は以下の10物件です。
順位行政区駅名物件名
1西宮市苦楽園口ナビールコート豊楽町
2明石市土山グランプレステージ明石西3
3大阪市北区梅田イトーピア北梅田レジスアベニュー
4大阪市中央区日本橋ロイヤルメドゥ東心斎橋
5明石市魚住グランプレステージ明石魚住駅前
6神戸市垂水区学園都市パルメーラ垂水ヒルズ
7神戸市東灘区アイランドセンターRICイーストコート11番街
8京都市山科区山科パデシオン山科夢ヶ丘
9西宮市西宮名塩ルネサンクタスナシオンヒルズ
10神戸市垂水区垂水ウィンヒルズジェームス山

(「プレジデント」2008年3.3号 p45および「住まいサーフィン」より転載)

条件を揃えるため、2001~2003年に新築分譲された60平米以上の住戸で比較されています。パッと見て感じた事は……、北摂がないぞ!というわけで、以下に続きます。

三宮以西が人気!?10物件中4物件

苦楽園界隈
阪神間屈指の住宅街「苦楽園」にある物件が一位。しかし、いわゆる高級住宅街はここのみ。写真は苦楽園界隈
いわゆる高級住宅街とされる西宮・芦屋はTOPの阪急線「苦楽園口」駅の「ナビールコート豊楽町」のみ。しかしこの物件は定期借地物件のため売買価格が割安となるので例外です。また、先述したように北摂の物件はゼロ。
賃料だけを比較するとTOP級となる北摂・阪神間の物件が含まれていないということは、そのエリアの分譲マンションは賃料比以上にかなり高額で分譲されたという事ですね。
目立ったのは垂水区と明石市で、各々2物件の計4物件。しかもいずれも徒歩10分以上(垂水区2物件はバス便)です。大阪への通勤だと、所要時間は約1時間半。三宮界隈だと約1時間。決して交通が便利とは言えない場所です。
それでも賃貸ニーズが高いのは、須磨~明石の瀬戸内海に程近い穏やか雰囲気・住環境が評価されていると考えられます。駅から遠い物件が選ばれている点は、このあたりはJR・山陽電鉄が海沿い、すなわち居住エリアの最南端を走るため、中部の多くから北部はバス便となり、バス便=不便という図式にはなっていないためです。

続いて次ページでは、「駅からのアプローチ」「賃料」などの側面から見てみましょう