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相続時精算課税制度を使った遺産分割 争続対策 part4(2ページ目)

遺言をしていても遺留分の問題によりアパートが共有で相続されてしまう可能性がある。しかしある方法をとればこの遺留分の問題を解決することもできる。

浦田 健

執筆者:浦田 健

アパート・マンション経営ガイド

その他のメリット


相続時精算課税制度を利用した贈与を行っても、贈与した財産は相続税の対象となってしまう。上記の例ではアパートとその敷地が相続税の対象となる。
しかし、相続が生じた場合、その財産は贈与があった時点での価額で評価されるのである。
あなたが長男に贈与した時点では土地は1,500万円であった。仮にあなたが他界したときに土地が2,500万円に値上がりしていたとしよう。
この土地は、2,500万円ではなく、1,500万円で評価されるのである。
値上がりすることが予想される財産は相続時精算課税制度を使って贈与しておくべきといえる。

また、贈与できる回数や期間に制限はない。合計2,500万円までなら、課税されることなく贈与することが可能である。
さらに、相続時精算課税制度は贈与者が異なるごとに選択できる。仮にあなたの父親が2,500万円、母親が2,500万円の財産を持っているとする。
両親があなたに2,500万円ずつ贈与しても相続時精算課税制度を利用すればあなたには贈与税がまったくかからないのである。

デメリット


注意点は、一度相続時精算課税制度を選択すると途中でやめることができなくなってしまうことである。

さらに、年齢にも制限がある。相続時精算課税制度を利用できるのは、

・贈与者・・・65歳以上の親
・贈与を受ける者・・・20歳以上の子供

である。

まとめ


相続時精算課税制度を利用した生前贈与のメリットをまとめると・・・

・大きな基礎控除を利用して分割しにくい財産を一度に移転できる
・贈与税を気にすることなくあなたの意思どおりに財産を分割することが可能になる
・アパートの共有での相続を避けることができる


一方、デメリットは、・・・

・一度選択すると、途中でやめることはできなくなる
・年齢制限がある


円滑に財産を分割するためにも遺言を残すことは大切なことだ。しかし、遺言だけでなく、「相続時精算課税制度」を利用することであなたのアパ・マンを遺留分の問題からも守ることができる。アパ・マンを稼動産として残すために「相続時精算課税制度」を活用することもぜひ考えていただきたい。
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