これは、私へ土地活用相談を依頼されるクライアントへまずはじめにお話していることです。
でも、意外に、「土地に関してどのような図面があるのか分らない」という方が多いように思います。確かに、土地に関する図面といっても様々な種類があり、はじめて土地活用相談をされる方には難しいかもしれませんね。
そこで、今回は、土地に関する図面にはどのようなものがあるのかご紹介したいと思います。建築会社や工務店にご相談される場合にも、それぞれの図面がどのようなものを指すのかを知っているだけで相談がスムーズに進むものと思います。
また、銀行へ融資を打診するための資料を集める際にもこのような知識は役に立つことでしょう。
■ 地番はご存知ですか?
ご自分の土地の住所(住居表示)はよくご存知のことと思います。住所は私たちが生活している建物の場所をあらわすものです。
しかし、地番はご存知でしょうか?住所とは別のものです。(一部地域では住所と地番が同じ地域もあります。)地番は土地の所在地を表しており、不動産を区別するために使われます。
登記簿など法務局で取得できる書類は地番で登録されています。ですから地番がわからなければ書類を取得することができないのです。
地番は権利証や固定資産税評価証明書に記載されています。しかし、権利証や固定資産税評価証明書がすぐに見当たらない状況であれば、法務局に備えられているブルーマップと呼ばれる地図でも地番を調べることができます。この地図を使って土地の住所を調べると地番が記載されているのです。
青の文字が地番、黒が住居表示です。尚、建物のない場所には住居表示はありません。ブルーマップの読み方がわからない場合は法務局の職員に聞くと丁寧に教えてくれます。
ブルーマップ |
■ 土地に関する図面の種類
地番が分れば、土地に関する様々な図面が取得可能になります。
・土地登記簿謄本
敷地の広さ、土地の権利関係がわかります。例えば、既に銀行融資を受けておられる場合には、どの銀行からいくらの抵当権が設定されているかが分ります。
また、直接には関係ないですが、その土地の代々の所有者が明記されています。
土地登記簿謄本 |
・建物登記簿謄本
建物の延床面積、建物の権利関係がわかります。家屋番号で取得します。原則として建物の敷地の地番と同一の番号が家屋番号になります。
もし計画地に建物が建っていて、これを建替える場合、解体工事をする必要がありますが、だいたいの建物面積が分れば、概算で解体費を机上計算できます。
建物登記簿謄本 |
・土地の公図
上記の登記簿謄本で土地の所在や地積、権利関係などを把握することができますが、これだけでは隣地や道路との境界や方位などは分りません。そこで、登記簿からは判断できない土地の形状や位置をある程度特定できるように、登記所に備えつけられている地図が公図です。
ただし、公図は、明治初期に作られたものがベースになっているため、正確さに欠けるものが多くあります。建物のプラン作成にあたっては公図ではなく、後述の測量図をもとにプラン作成することが望ましいといえます。
公図 |
・地積測量図
土地の面積、土地の形状、隣接地との境界、方位などがわかります。土地に関する正確な寸法が記載されていますので、測量図を基に精度の高いプラン図を作成することが可能です。
ただし、法務局に備え付けられていない場合も多くあります。この場合、必要に応じて測量士に作成を依頼します。
地積測量図 |
・建物図面
建物の配置、建物と境界線の間隔がわかります。建物の大きさがある程度正確に記載されていますので、登記簿謄本と建物図面があれば、かなり正確な解体費を算出することができます。
建物図面 |
・住宅地図
建物周辺の環境がわかります。駅からの距離やどのような施設があるのか、また、競合となるアパート・マンションがどれぐらいあるのかなども住宅地図である程度把握が可能です。
以上のような土地に関する資料がそろえられれば土地活用相談に対する準備はほぼ完璧だと思います。
「こんなにたくさんの書類が必要になるのですか。そろえるだけでも大変です・・・」
と思われるかもしれませんね。確かに準備は大変かもしれません。でも、土地に関する情報が正確になればなるほど、より適切なアドバイスが受けられるものです。また、一度そろえてしまえばあとは繰り返し使えます。さらに、資料を収集する過程で土地情報の取得方法が学べるので、別の投資案件でも物件調査が簡単にできるようになるのです。
また、銀行融資打診のときでもそうですが、書類をきっちりとそろえているというだけで、「この人は不動産について知識があり、土地活用を真剣に考えている人なんだな」という好印象を担当者に与えることができます。そうすれば、土地活用のプランを考える担当者もより真剣になることでしょう。
今回は、土地活用相談のために必要な書類についてご紹介しました。この機会に土地に関する図面の種類と取得方法について身につけておきましょう。