資産価値を維持するための街の美しさ
ポルトガル・リスボンのまちなみ。大航海時代からの古いまちなみで屋根瓦など外観に統一感があり、街としての「美しさ」を醸し出している |
デザインや外観だけではありません。庭やエクステリアにもまとまりがあり、風景にとけ込んでいますよね。アメリカの映画などで、週末に芝刈りをするシーンがよく見られます。これは一定期間、芝を放置しておくと美観が損なわれ、住宅地の資産価値が損なわれると認識されているためです。
ヨーロッパでは、バルコニーに必ず花を植えなければいけないとか、洗濯物を外に干してはいけないなどといった数々の制約がある地域もあるようです。これは景観上の配慮で、同じように資産価値を意識した取り組みです。電柱の地中化が義務づけられているケースもあります。
日本でも浸透し始めた住民ルールによる街づくり
このような海外の事例をご紹介するのは、日本の住宅地にも同様の考え方が浸透し始めているからです。とくに新しく開発される住宅地の場合はそうしたケースが見られるようになってきました。ある一定の住民ルールが予め用意されていて、分譲住宅を購入する際はそれに合意することが求められる場合もあります。日本の住宅地においてまちなみに配慮した事例。和テイストの外観で統一され、落ち着いたまちなみが形成されている |
このようなことは、まちなみの美観を維持すること、ひいては住宅地の資産価値を下げないための取り組みなのです。ですから、コミュニティー全体が住宅地の資産価値の維持と向上に熱心に取り組んでいることも、分譲住宅選びの重要なポイントになるのです。
私は、これまで数多くの分譲地を見てきました。次のページでは、その中からいくつか特徴的な事例をご紹介します。