洋風住宅、輸入住宅でデザイン性の進展を牽引
ツーバイフォー住宅による分譲地。洋風、輸入住宅風のデザインの建物が建ち並んでおり、日本の住宅デザインの多様さを象徴している(写真は東急ホームズ) |
ただ、そうすると他の工法と比べ違いを明確にできませんでしたから、各ハウスメーカーがアメリカなど欧米各国の住宅デザインを学び、住まいづくりに反映させていったということでした。少なくとも、ツーバイフォー住宅が日本の「輸入住宅」(って分野があるのも日本だけかも)の牽引役であることは間違いないでしょう。
ところで、住宅展示場にいくと、どの建物がどの工法で建てられているのか、皆さんわかるでしょうか。「これって鉄骨造かコンクリート造なんじゃない」と思っていると、実は木造住宅だったなんてケースも多いと思います。
今はそれほど、住宅デザインは工法によって差別化できなくなっているのです。私はハウスメーカーと工法の関係を理解していますからほぼ間違えることはありませんが、一般の方ならそうはいかないと思います。
他工法の発展にも影響を与えたツーバイフォー住宅
話を住まいのデザインに戻すと、とはいいながらもいわゆる洋風デザインに関して、未だにトップランナーとして走っているのが、ツーバイフォー系のハウスメーカーといってよいでしょう。例えば南欧風でも、フランスやイタリア、スペインなどでは、様式が異なりますし、時代によっても雰囲気が違います。そうした細かな違いを把握しているのも、ツーバイフォー系ハウスメーカーの強みだったりします。
ツーバイフォー(右)と木造軸組(左)の強度実験の様子。ツーバイフォーの優位性を確認している(この写真では木造軸組が劣っているように見えるが、木造軸組でも近年は様々技術が開発され、ツーバイフォーに劣らない強さを確保している場合がある) |
ツーバイフォー工法はこのほかにも、気密・断熱性の向上や生産性の向上にも寄与しました。中でも生産性の向上については、木造軸組工法におけるプレカット技術の導入と生産性の向上にも影響を与えたと考えられます。
要するに、工法間、ハウスメーカー間で切磋琢磨してきたということです。前ページのオープン工法、クローズド工法の話もそうですが、一つの工法を研究することで他の工法の特徴もわかるようになるものです。
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