鹿鳴館のような社交場があった
建築様式も美しい軽井沢のシンボルともいえる旧三笠ホテル |
旧三笠ホテルは重要文化財にもなっていますが、そのモダンな建築美やインテリアは当時としては目を見張るものがありました。文化人や財界人が多く集まり、まさに「鹿鳴館」のような華やかな上流階級の社交場が、夏の軽井沢で繰り広げられるようになったのです。
当時は鉄道が開通しているとはいえ、今のような短時間で来られるほど軽井沢は近くありませんでした。24時間以上列車に揺られ、駅に着くと今度は馬車に乗り換え、涼しい夏を過ごすためにやってきたのです。時間がかかるだけに、軽井沢ではのんびり長期滞在することが当たり前のようです。パーティーや音楽会、テニスや乗馬などを楽しむ人も増え、外国人たちの交流も深まります。
<軽井沢 千ヶ滝別荘地>が中軽井沢にありますが、今年で90年という長い歴史があり、開発当時の写真をたまたま見せていただく機会がありました。着物姿の女性がバイオリンを弾いていたり、白いスーツ姿やはかま姿の男性たちが談笑していたり……。写真の添え書きに何とか男爵、公爵と記されているものも。なんと優雅な時間が過ぎていたのでしょう。