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このガイドラインでトラブルが減少!? 「原状回復」は誰の負担??2(2ページ目)

原状回復トラブルが起こりやすいのは、壊れた箇所の修繕負担を誰がするのか、それが明確ではないから。そこで、具体的な例をもとに、賃貸住宅の修繕負担が誰にあるのか、みてみましょう!

加藤 哲哉

執筆者:加藤 哲哉

賃貸・部屋探しガイド

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Q:壁にカレンダーを貼っていたら、その周りが日焼けして、跡が残ってしまった。これは、借主の善管注意義務違反?

A:壁の日焼けは、畳の日焼けと同様に自然損耗と考えられています。つまり、カレンダーやポスターなどを貼って模様のように日焼けしてしまったとしても、それも自然損耗だと考えられるわけです。カレンダーを貼ることは、借主の善管注意義務違反には当たらないと考えるのが妥当だと考えられています。
壁の日焼けは、貸主の負担。

■8

Q:では、壁にポスターやカレンダーを貼るときに使った画鋲やピンなどの穴は、借主のせい?

A:壁へのダメージが画鋲やピン程度の穴ならば、通常損耗だと考えられ、借主の負担にはなりません。でも、壁の下地ボードを張り替えなくてはいけないほどの穴(重いものをかけるためにくぎやねじを使用したような場合)なら、借主の負担だと考えられます。

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Q:窓に結露が生じ、それが原因でカビやシミになってしまった。これは、通常の損耗になる?

A:結露が生じるのは、構造上の問題も多くあります。が、結露が生じているにもかかわらず、それを放置するなどしてシミやカビを発生させてしまった場合には、借主の善管注意義務違反だと考えられるのです。よって、貸主・借主双方で負担するのが妥当。

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Q:クーラーから水漏れし、放置したため壁が腐食した。これは、借主の負担?

A:クーラーをつけたのが借主なら、クーラーのメンテナンスは借主が行うべきであり、それを怠ったのは借主の善管注意義務違反になります。もともとついていたクーラーであれば、メンテナンスは貸主の負担になりますが、水漏れしているにもかかわらず放置して腐食したのであれば、借主の善管注意義務違反だと捕らえられるケースが多くなります。

■11

Q:飼っていたペットが柱に傷をつけちゃった!これはもちろん、借主の負担?

A:ペット専用のマンションでなければ、共同住宅でペットを飼うのは一般的ではないため、飼育者のしつけの問題になり、柱などにつけた傷は借主の負担になることが多いようです。

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Q:入居する前に鍵を交換してもらいたい。これは、借主が負担しなければだめ?

A:鍵の交換は、入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、貸主の負担とすることが多いよう。貸主に交換してもらいましょう。


具体的な例をいくつか紹介してみました。喫煙によるヤニは、以前はすべて借主の負担だと言われていましたが、国土交通省のガイドラインでは、通常のクリーニングで除去できる範囲なら、貸主の負担だとなっています。しかし、「通常のクリーニング」の通常が、どの程度なのでしょうか?

ガイドラインの中には「通常の生活」とか「通常の利用」という言葉が多く利用されており、業界では、この「通常」をさらに具体的に示さないとトラブルは減少しないのではないか?との意見があります。
また、これはあくまでもガイドラインですので、契約書の特約等でガイドラインよりも借主に不利な内容が書かれていれば、その特約が採用されることがあります。
このガイドラインを踏まえ、契約時に退去時の原状回復について取り決めをしておくことが、トラブル防止となります。退去の時でなく契約の時に、キチンと契約内容を理解しておきましょう。


(参考文献:国土交通省住宅局 (財)不動産適正取引推進機構「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より)
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