なぜ?都心が特に下がっている?
都心の平均礼金が下がっている理由は、大きく2つあると考えています。
1つめは、やはり現在の不況。都心には高額な高級賃貸物件も多く、そういった物件を借りているのは外資系企業や金融系企業に勤務する人などやその法人などの富裕層でしたが、やはり最近の不景気のダメージを受けています。特に、リーマンショックで損失を被っている層と高額賃貸物件の入居者層がリンクしており、都心の高額賃貸物件から退室者が増加。これにより、高額物件の空室が増え、需給バランスが崩れてしまった状況が今でも継続しており、その影響で礼金も下がっていると思われます。
もう一つは、都心には不動産会社やJ-REITなどのファンド、つまりプロが所有している物件比率が高いこと。こういった人たちは、売却も視野に入れて物件の運用をしています。売却するときには、現在の物件の月額賃料が高ければそれだけ利回りがよくなるので高値で売れます。そのため、一時金である礼金を下げて早期に入居者を確保し、月額賃料を確定させることを優先させるという行動にでます。資産運用のプロであるオーナーたちは、都心賃貸のマーケットに敏感に反応して策を講じてきています。
首都圏4県の傾向は?
東京、千葉、埼玉、神奈川の4県の平均礼金動向にも注目してみました。
出典:(株)ネクスト |
東京都の平均礼金は、2008年1月の1.29ヵ月をピークに2009年4月には1.14ヵ月までダウン。神奈川県も1.0~1.1ヵ月の間で同じような緩やかな動きを見せています。一方、千葉県や埼玉県では、2008年1月の0.8ヵ月をピークに0.66~0.69ヵ月までダウン。下がり率では、約1割程度なので、それほど大きく下がった感はありませんが、緩やかに下がる曲線を描いています。この先、急激に下がることはあまりないと思われますが、どこまで下落するのか、今後も注目していきたいものです。
>>参照データ:HOME'Sマーケットレポートhttp://www.next-group.jp/csr/report/