従業員社宅のルール
国税庁は役員社宅の場合は基準を3パターンに分類し、それぞれにおいて、いくらの賃料を役員から受け取っていれば課税しないですよ、と決めていましたが、従業員社宅に関しては、分類はなく1パターンです。
当てはまる住宅は? | 住宅の専有面積等での制限は、特に定められていません |
賃料相当額算出方法 | 次の(1)から(3)の合計額が賃貸料相当額になります (1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2% (2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル) (3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22% |
例(港区の賃料20万円のマンションの場合) | 賃料相当額は、9,626円 |
実際に、港区のある賃貸物件で計算したところ、結果に愕然としました。
試算に利用した物件は、港区の銀座線「表参道」10分のマンションです。建物面積が51平米の3DK。賃料は20万円です。
固定資産税課税標準額は、土地が約130万円、建物が約340万円です。
上記の計算式で賃料相当額を算出すると9,626円が賃料相当額ということになります。
これは、役員社宅のパターン1(小規模な住宅)と同様の計算式となります。
しかし、「使用人から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。」という運用ルールとなっており、この点が役員社宅のパターン1よりも優遇されています。
少し噛み砕いて説明します。
この例で言えば、相場賃料20万円の物件を会社が借ります。それを従業員に5,000円で貸した場合、この物件の賃料相当額9,626円の50%以上となるので、その差額は課税されないということです。
(逆に1,000円で貸した場合は、賃料相当額9,626円の50%未満となり、賃料相当額9,626円と1,000円の差額の8,626円が給与として課税されることになります。)
税金的にはメリットが大きいと思うのですが、私が勤めていた会社も従業員社宅制度にしていなかったのは、この恩恵を受ける人のメリットが大きいだけに、自宅から通う人、持家の人との公平感を保つのが難しいという点、相場賃料でなく、固定資産税の課税標準額を基準にしているので、毎年の計算が手間という点、従業員が退職したときの手間、こういった点を考慮してのことだと思います。
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