りんご病とは? 主な症状・経過・登校可否
頬がりんごのように赤くなるのが特徴のりんご病
5~9歳の子どもに最も多く、次に、0~4歳に見られます。小学校で流行しやすいと言えます。時期は、1月から7月上旬に多いのですが、5年ごとに流行が見られ、流行時には季節性がなくなります。
りんご病に感染すると、始めに頬が赤くなり、手足にレースカーテンのような「紅斑」という赤い発疹が出て、時に体中に広がります。赤みは約1週間で一度消えますが、その後も紅斑が出たり消えたりする症状が3~4週間程度続きます。
顔が赤くなる1週間~10日前に微熱や風邪のような症状が出るのも特徴。このときがウイルスが血液中で最も増えた状態で、感染力が強い時期です。本来ならこの時期には学校などを休んで隔離されるべきなのですが、現実的にこの時点でりんご病と診断することはほぼありません。
一方、発疹が出てきたときにはウイルスは非常に少なく、感染力はほとんどありません。つまり、りんご病として赤みが出る症状が出た時点では隔離の必要がなく、出席停止にはなりません。
りんご病の原因・感染経路・潜伏期間
りんご病の原因は「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスです。このウイルスは、保持者のツバなどからうつる飛沫感染と、皮膚や手すりなどについたウイルスに触ってしまうことでうつる接触感染により人から人に感染します。感染から発症までの潜伏期間は10~20日程度。前述の通り、りんご病の発疹が出る1週間ほど前に最も強い感染力を持つため、学校などで顔に紅斑が出ているりんご病の人がいた場合は、すでに感染していることが多いです。しかし、感染しても症状が出ない不顕性感染(ふけんせいかんせん)も場合も多いので、必ずしも発疹が出るわけではありません。
りんご病と間違えやすい病気…溶連菌感染症、膠原病、SLEなど
りんご病は、紅斑や同じような赤みの出る風疹や、発熱や喉の痛みを伴う「溶連菌感染症」と間違われることもあります。また、「膠原病」の全身性エリテマトーデス(SLE)という病気でも頬が赤くなることがあります。溶連菌感染症やSLEなどの病気は重症化する恐れがあり、早期治療が必要。りんご病と思い込んで違う病気を放置しないためにも、正しく検査してりんご病と診断を受けることが大切です。全身性エリテマトーデスについて、詳しくは「全身性エリテマトーデス(SLE)の症状」や「全身性エリテマトーデス(SLE)の検査・治療」をご参照下さい。
りんご病の検査法・診断方法
りんご病は、医師が頬の赤さと手足の紅斑状態から診断します。また、溶連菌感染の可能性を消すために、溶連菌の迅速検査を行って陰性であることを確認します。りんご病の確定診断法として、喉を綿棒で擦り、ウイルスの有無を確認する方法や、血液検査などが行われています。しかし、保険診療での検査に制約があり、妊娠中の感染など特殊な場合を除いて、通常は血液検査による確定診断のための検査は行われていません。逆に言えば、妊婦での血液検査は可能です。
大人や妊婦がりんご病に感染した場合の症状・胎児への母子感染による影響
大人がりんご病に感染した場合、頬は赤くならず手足だけに発疹が出る場合があります。発疹の症状も子供より長く、3週間続くこともあります。発熱や関節痛、全身倦怠感を伴い、子供に比べると重症化することが多いのが特徴。関節痛のために1~2日は歩けないこともあります。特に注意が必要なのは妊婦。妊娠中にりんご病が重症化すると、母子感染により赤ちゃんに流産や胎児貧血などの深刻な影響が出る恐れがあるため、りんご病に感染したかどうかを早期段階で確定診断する必要があります。妊婦にとって危険な風疹と症状が似ているために、伝染性紅斑も風疹もどちらかはしっかりと診断する必要があります。
妊娠中に紅斑が出た場合は、体内にりんご病のウイルスがあるかを調べるため、通常は行わない「血液検査」でヒトパルボウイルスB19の抗体を検査します。妊娠中に限り、保険診療で検査することが可能です。
具体的な治療法・予防法については、「りんご病(伝染性紅斑)の治療法・予防法・合併症」をご覧下さい。