- 食道がんの初期症状は「沁みる感じ」
- 進行した食道がんでは「喉・食道が詰まる感じ」
- 声がれや咳・血痰にも食道がんの可能性があり注意が必要
- 食道がんの原因となる危険因子は飲酒と喫煙
- 食道がんは「予防」と、検査での「早期発見」が重要
食道がんの初期症状は「沁みる感じ」
のどの「つまる感じ」や「沁みる感じ」は、ありふれた症状ではありますが、長引く場合や再現性がある場合には注意が必要です。
食道がんの代表的な初期症状の1つが沁みる感覚。食道がんも他の多くのがんと同様に粘膜から発生するため、最初の症状は粘膜の荒れに伴う感覚異常から起きます。
例えばかなり熱い物を食べた時など、いわゆる喉元からお腹にかけてツーッと食べ物が落ちていく感じを経験したことがある人は多いと思います。普段は意識しないものの、人間の食道の感覚は鋭敏で比較的正確なのです。ここに異常があると「何だか沁みる」という自覚症状として異変に気づくことができます。
進行した食道がんでは「喉・食道が詰まる感じ」
初期症状から少し進行すると、食道の内側に向かって腫瘍が盛り上がったり、食道の壁が硬くなったりするので、食べたものが通りづらくなります。具体的には、食べ物が喉元や胸のあたりで詰まるような違和感が出てきます。喉が詰まる感じは他のさまざまな疾患でも起こる症状で、心配しなくてもいいものがほとんど。しかし食道がんの「詰まる感じ」は、再現性があることが特徴です。普段は違和感がないが、たまに詰まる感じがする程度なら通常は心配ありません。「液体は通るが、固形物が詰まる」「これぐらいの量のご飯を食べると、毎回必ず詰まる感じになる」など、毎回同じ症状がある場合は、早めに内科を受診することをお勧めします。
声がれや咳・血痰にも食道がんの可能性があり注意が必要
症状がもう少し進むと声を出す神経が影響を受けるため、声が枯れたり、かすれたりする場合があります。食道にできた腫瘍が隣接する臓器である肺や気管支へと広がる(浸潤する)ことで、咳や血の混じった痰が出てくることも。もちろん声枯れや咳は風邪でも見られる症状なので、心配しすぎることはありません。しかし、通常の風邪なら数日から10日ぐらいで軽快していくのが普通。声枯れや咳が長引く場合や、風邪症状を伴わなかったり、上記のような沁みる感じや詰まる感じを伴う場合は、やはり内科を受診するようにしましょう。
食道がんの原因となる危険因子は飲酒と喫煙
上記のような症状を持つ食道がんですが、危険因子の解明は進んでいます。特に影響があるのは飲酒と喫煙。食道はお酒の通り道なので、ダイレクトに粘膜がアルコールに接します。適度の飲酒は問題ありませんが、平均的な人の場合、毎日日本酒換算で2合以上の過度のお酒を飲む習慣がある場合は、少し量を控え、休肝日を週に1~2回作るようにしましょう。
喫煙は多くのがんの発生に関与していることが明らかになっていますが、特に食道がんの発生を上昇させることが研究調査の中でわかってきました。
タバコを吸いながらお酒を飲んで日頃の憂さを晴らすのは、食道がん予防の観点からは避けて頂きたいところ。この他に、熱いものや辛いもの、焦げた魚や肉の習慣的な摂取を避けることも食道がん予防につながると考えられています。
食道がんは「予防」と、検査での「早期発見」が重要
上記のように、食道がんは生活習慣の改善による予防と、初期症状に留意することによる早期発見が可能ながん。いずれにしても症状だけでの自己診断は不安になるだけです。気になる症状がある場合には、まずはお近くの内科にご相談下さい。また、食道がん以外の全てのがんの早期発見のために、PET検査などを検討するのも有効です。詳しくは「体への負担を抑えて全身をチェック!PET検診とは?」をご覧下さい。【関連記事】