死なずに飛んできたウイルス感染した渡り鳥
ウイルス感染で長距離飛べなくなるというのは誤解? 白鳥は盲点だったようです |
ところが北海道では死んだ白鳥から強毒型の鳥インフルエンザウイルスが発見されました。この現象は日本だけではなくヨーロッパでも確認されています。これまでほぼノーマークだった渡り鳥からも、鳥インフルエンザが国内に持ち込まれるという可能性が出てきたのです。
変異したウイルスはヒトに感染する
渡り鳥ではないカラスもウイルスを運んでしまう!? |
従来は鳥インフルエンザウイルスはヒトには感染できないとされてきました。受容体の根本的な構造がヒト細胞とトリ細胞では異なるため、トリに感染するウイルスがそのままヒトにも入れるとは考えられなかったためです。
ところが東南アジアで見つかった変異ウイルスは、ヒトの細胞、より細かく説明すると、下気道の受容体に親和性があるということが分かりました。簡単に言うとトリが持っているウイルスが気道から入り、肺炎を引き起こすことが可能になっているということです。
人から人への感染力……発熱するとウイルスが増える?
鳥インフルエンザに感染してしまった人が大変なのはもちろんですが、ヒトの細胞に入った鳥インフルエンザウイルスも大変です。本来鳥に感染するウイルスにとって、ヒトの細胞は居心地が良い場所ではありません。鳥の体温は42℃。一方、ヒトの体温は37℃程度。体温が低いヒト細胞の中では、鳥インフルエンザウイルスは増殖しにくくなります。しかし、免疫反応が起きると、ヒトは体温が上昇し発熱状態になります。通常のヒトに取り憑く多くのウイルスは、体温が上がると増殖しにくくなるのですが、鳥インフルエンザの場合は、この体温上昇が逆にウイルスの増殖を助けることになってしまうのが厄介です。
肺炎自体は伝染しにくい
咳をしてもウイルスが飛散しにくいのは鳥インフルエンザの特徴? 肺炎自体はは伝染しにくいのです |
ヒトの肺に入り、免疫反応による発熱のおかげで増殖し易くなったウイルスは、さらに次の細胞に感染するために細胞外に出ようとします。この時にウイルスが使う酵素を妨害する薬剤が、インフルエンザの治療でおなじみのタミフル。一つの細胞に感染したところで、どんどん増えることができなければ、ウイルスの攻撃力は一気に弱まっていきます。
さらに、ウイルスがくっついた気道の粘液を咳や痰として排出する場合、気道の細胞表面にある繊毛(せんもう)が、粘液を口の方へ送り出す動きをすることになります。
現在の変異ウイルスは鼻腔には受容体がほとんどないので、鼻水からは感染しないと考えられます。変異ウイルスが肺炎を起こした場合、ウイルスが入り込む肺に近い下気道は繊毛が少ないため、肺炎で咳をしてもウイルスの飛散が少なくてすみます。結果として幸いな事にヒトからヒトへは伝染し難いのです。
鳥インフルエンザ対策法
海外旅行に行く前に、危険度をチェック!
鳥以上にウイルスを運んでくるのは飛行機。渡航の前には行き先の危険度をチェック |
注意すべきことは、渡り鳥以上に飛行機による持ち込みを防止すること。特に、鳥インフルエンザへのヒトへの感染報告が多い東南アジアから、年末などの移動する人数が多い時期、空港でどの程度の検疫ができるかは不安が残ります。
もしも、東南アジアでの感染が非常に増加した場合は、流行地域への観光旅行を控えるなどの自己防衛策も考えた方がよいかもしれません。
ヒトインフルエンザワクチンの予防接種も有効
他のウイルスと異なり、体温上昇が恐い鳥インフルエンザウイルス |
プレバンデミックワクチンは、これからヒトへの効果を確認します。まずはヒトインフルエンザワクチンを接種して予防しておきましょう。
使い捨てマスクを用意
飛沫感染はマスクで予防! 入手困難になる前に必要分の買い置きも大切 |
飛沫感染の予防には、基本的な方法ですが使い捨てマスクが有効です。現在、100枚入りで1000円以下で購入可能です。大流行した場合は、入手困難になることが十分に予想されますので、防災セットのつもりで買い置きしておくことをお薦めします。