性感染症・STD/性感染症の感染予防・治療法

主な性行為感染症

外性器の病気は、主に性行為に関係するものと、性行為がなくても起きるものの2つに分けられます。まずは性病と呼ばれる主な病気の症状と治療法について解説します。

清水 なほみ

執筆者:清水 なほみ

産婦人科医 / 女性の病気ガイド

性行為によって感染する外陰部・腟の病気

気づかないうちに「性行為感染症」に感染している人も少なくありません

気づかないうちに「性行為感染症」に感染している人も少なくありません

俗に言う「性病」は、性交渉でうつる感染症全ての総称です。10代から20代前半を中心に広がっており、特に自覚症状が出にくいタイプの病気が蔓延しつつあります。予防はコンドームを初めから正しく使うこと! これしかありません。診断や治療の方法は感染の種類によって異なります。
 

クラミジア感染症

感染力が強く症状がほとんど出ないために、特に女性の感染者が増えています。20~24歳の女性で、症状がない人も含めると6.4%、つまり16人に1人がクラミジアにかかっていると推定されています。診断方法はおりものの検査か血液検査。治療法は抗生物質の服用です。
 

淋病

クラミジアと同様症状が出にくく、薬が効かない「耐性菌」が増えているためにじわじわと広がっています。診断方法はおりものの検査のみ。治療は抗生物質を点滴や筋肉注射で投与します。
 

性器ヘルペス

最近は感染力があるのに自覚症状はない「不顕性感染」が増えています。そのため、特に男性から女性へ気づかずに感染してしまうケースが増加中。発症すると外陰部に水ぶくれができ、尿がしみたり強い痛みが出たりします。診断は主に、水ぶくれなどの見た目で判断します。治療は抗ウイルス薬の塗り薬や飲み薬ですが、重症だと抗ウイルス薬の点滴が必要になります。
 

尖圭(せんけい)コンジローマ

イボを形成するウイルスである「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の6型や11型が原因で、外陰部や肛門周囲に「イボ」ができてしまう病気です。コンドームで防ぎきれないことがあり、再発もしやすいので、かかると厄介。イボを見れば一目で診断できます。治療はイボをレーザーや電気メスで切り取るか、塗り薬を一定期間使用します。
 

HPV感染症

イボを形成するウイルスである「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の中でも、子宮頸癌の原因となる16型・18型などのハイリスクのタイプに感染したら要注意です。少なくとも半年に1回は子宮頸癌検診を受けましょう。リスクが高い一方、珍しいウイルスではありません。性交経験のある女性の7~8割が50歳までに1度はかかると言われているくらいメジャーなウイルスなのです。感染しても全く症状はなく、診断はおりものの検査で行います。今のところHPVに対する治療薬はありませんが、9割の人は1度かかっても自然に治ります。
 

トリコモナス腟炎

細菌よりも大きな「原虫」が感染することで炎症が起きます。おりものが泡立ったようになって、強い痒みが出ることが多いのが特徴。おりものを取って顕微鏡を見ればすぐに診断できます。治療は、飲み薬または腟剤を10~14日間使って行います。
 

毛じらみ

陰毛に特有の「しらみ」が毛から毛へ移動して感染します。痒みや点状の出血で気づくことが多いようです。診断は毛根についている卵か、しらみそのものを見つけること。治療は毛を全部剃ってしまうか、毛じらみ治療用のシャンプー(スミスリンパウダー)を毛に振りかけて洗い流します。


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