糖尿病/糖尿病の食事療法の基礎知識

5分で分かる!糖尿病食事療法

糖尿病と診断されるとまず勧められるのが食事療法。しかし、病院などで一気に食事療法の説明を受け、結局何をしていいか分からない…という人も多いはず。今回はすぐに分かる食事療法の目的と方法を紹介します。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

糖尿病と診断されるとまず治療の一環として勧められるのが食事療法。しかし、病院などで一気に食事療法の説明を受け、結局何をしていいか分からない…という人も多いはず。今回は食事療法の目的と方法をステップを踏んで紹介します。
 

ステップ1:まずは血糖値を安定させる

時間がなくても大丈夫

時間がなくても大丈夫。写真の朝食献立の炭水化物は43g

■目的
血糖を上げる炭水化物量を管理して三大合併症を防ぐ

■方法
食事面では炭水化物の量を管理する
 
糖尿病は炭水化物の代謝に異常がでる病気。糖尿病と分かって最初にするべきことは血糖値を安定させることです。高い血糖値が続くと糖尿病の三大合併症のリスクが上がります。

食事面ではまず炭水化物の管理が最優先。炭水化物の目安摂取量は、1食あたり45~75g。これは個人の糖代謝機能、運動量、体型、服薬、インスリンの使用有無などによって異なるので医師と相談して調整する必要があります。実際に食後血糖値を測定して自分の炭水化物の代謝機能を確認することが大切。まずはちょうど中間点の60gくらいを目安にして調整を開始するのも1つの手。炭水化物60gとは、ご飯の場合は軽く茶碗一杯、6枚切り食パンなら2枚分に相当します。炭水化物は1食あたり量があまりばらつかないことが重要なので、朝食事を抜いて、その分の炭水化物を昼食で摂ってしまった…というのは血糖値管理という視点からは意味がありません。

 

ステップ2:減量が必要かをチェック

■目的
体のインスリン抵抗性・感受性の改善(=血糖値の改善=合併症予防)

■方法
食事と運動で減量する。減量の必要がない人も運動は大切

食事のカロリー制限が必要であるかチェックします。減量が必要な場合でも、体重を効果的に落とすのには時間がかかることが多いので、血糖値がある程度落ち着いてからはじめるとよいでしょう。肥満でなくても、2型糖尿病でBMIが23以上くらいの人は、減量するとインスリン抵抗性が改善され血糖値が下がる傾向にあります。ここで抑えておきたいのは、低カロリー食自体が血糖値を改善するという事ではないことです。カロリー制限による体脂肪減少によってインスリン抵抗性が改善されて血糖値が下がったり、カロリー制限によって炭水化物量が自然と抑えられている事があるためです。痩せ型の人はカロリーを制限して減量する必要はありません。

減量と切り離せないのが運動。運動をすると筋肉アップによるインスリンへ感受性改善が期待できます。さらに運動で血糖(ブドウ糖)を消費できます。痩せ型の人も運動による筋力アップでインスリン感受性の改善が期待できます。筋力アップと言っても筋肉モリモリになる必要はなく、ウォーキングや軽いジョギングなどでOKです。年齢や個人の体力によると思いますが、カロリー制限はせずに運動して減量するという方法もあります。個人に合った体重管理法をみつけましょう。
 

ステップ3:栄養バランスを整える

複数の食材を使うと自然にバランスがよくなる

複数の食材を使うと自然にバランスがよくなる。写真の朝食献立の炭水化物は63g。

■目的
糖尿病になるとリスクが上がる心臓病などの循環器系疾患等の予防

■方法
バランスのよい食事をする

バランスのよい栄養とは、電卓で計算した食事をすることではありません。栄養バランスのよい食事例を一言で表すと、ご飯・麺など主食の食べすぎを避け、魚・肉・豆などのたんぱく質をほどよくあわせ、野菜をたっぷり取り入れたものなどです。下記の「栄養バランスをよくする方法」も参考にして下さい。もっと詳細な情報が必要だと感じる人は、「食事バランスガイド」や「糖尿病食事交換表」を参考にするのもよいでしょう。ただし、これらのガイドラインは一般的な栄養バランスはとれても、炭水化物量が多くなることがあるので注意を払って下さいね。カロリー制限が必要な人は、食品のカロリーを本を購入してチェックするのもよいでしょう。

■栄養バランスをよくする方法

  • こってりした料理よりもさっぱりした料理を選ぶ
  • 一品料理よりも定食やセットメニューを選ぶ
  • 野菜をたっぷり食べる
  • 清涼飲料水よりも水やお茶を選ぶ
  • 味の濃いもの、脂肪の多いものはほどほどに
  • お菓子はほどほどに
  • ドカ食いやダラダラ食いを避けるために食事は抜かない


糖尿病であってもそうでなくても、栄養バランスの基本は同じです。どのガイドラインを参考にした場合でも、炭水化物は控えめにするのがポイントです。
 

ステップ4:治療方針を専門家と話し合い微調整を続ける

糖尿病の管理は服薬、インスリン、生活習慣(食事、運動etc)などを総合的に調整しながら行います。例えば、炭水化物の摂取量は個人に合わせた治療方針によって変わってきます。極端に言えば、炭水化物を好きなだけ食べて服薬・インスリンの量をガンガン増やしてもOKと思う人もいれば、炭水化物を適度に調整して服薬・インスリンの使用を避けたり減らしたいと思う人もいるかもしれません。まずは何でも話し合える信頼できる医師を見つけるのが大切です。また、糖尿病と食事は切っても切れない関係ですので管理栄養士に相談することもお勧めします。体重や血糖値やコレステロール値などの検査値を分析した上で、個人にあった食事について相談ができるはずです。

(注)上記の内容は2型糖尿病向けです。あくまで数分で読める内容にした記事であるため、全ての事項をカバーしたものではありません。個人の治療・食事療法は、必ず担当の専門家に相談して行ってください。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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