生活習慣病/高脂血症・高コレステロール血症

高脂血症・脂質異常症の症状・原因

コレステロールや中性脂肪の値が異常であっても、自覚症状はほとんどありません。そのため、意外に放っておかれることが多い脂質異常症。でも、実は動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞に繋がる怖い病気です。

井上 真理子

執筆者:井上 真理子

医師 / 生活習慣病ガイド

高脂血症・脂質異常症とは?

痩せていても油断禁物。健康診断の数字

痩せていても油断禁物! 脂質異常症は若い女性にも見られる生活習慣病です

「コレステロール」や「中性脂肪」は、健康診断などで目にする機会が多い言葉だと思います。これらは血液中の脂質、ひらたく言えば脂(あぶら)のこと。その量が適切でない状態が「高脂血症」です。

脂と言うといかにも悪そうですが、実は脂質のなかには多いほうがいいものもあり、低い場合も治療が必要。そのため最近では、脂質が高いことのみを指すような「高脂血症」という病名をやめ、「脂質異常症」と呼ぶ動きが強まっています。

脂は身体の維持に必要なものですが、その量が適切でないと動脈硬化が進むことがわかっています。脂質異常症は、日本人の死亡原因の上位を占める心筋梗塞や脳梗塞などに繋がる、怖い病気なのです。


脂質異常症の症状

脂質異常症は基本的に自覚症状がありません。健康診断などでの血液検査で初めて指摘される場合がほとんど。自覚症状がなく、よくみられる病気なので、治療が必要だと考えない傾向にあります。

診察中にも、「ある程度歳をとったらコレステロールは高くて当たり前」とおっしゃる患者さんが多く、驚かされます。


脂質異常症の原因

脂質異常症の原因は、不適切な食生活や運動不足などのよくない生活習慣。一方で遺伝的な要素も強く、「脂ものもほとんど食べず、毎日30分歩いている」という方や、若い痩せた方でも脂質異常症で受診されることも少なくありません。

また、甲状腺や腎臓の病気があったり、ステロイドなどの薬によって脂質の量が異常になっていることもあります。この場合には原因となっている病気の治療や薬の中止でよくなることが多いので、健康診断などで脂質異常症を指摘された場合には、内科を受診して正しい診断を受けることが大切です。

悪玉コレステロールと善玉コレステロールの違い

一点、ここで覚えていただきたいのがコレステロールはすべてが悪いものはないということ。コレステロールには動脈硬化を進める悪者の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と、逆に動脈硬化の進みを抑えてくれる善玉コレステロール(HDLコレステロール)の2種類があります。動脈硬化予防には、LDLコレステロールが少なく、HDLコレステロールが多いのが理想的なバランスです。
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