男性に対するイメージはこれまで、闘争的で攻撃的な「肉食系」が主流でした。それとは好対照をなす草食系男子の増加は、セックスレス層の拡大を招き、少子化に拍車をかけるのではないか、と心配する人もいます。
今回は、勢力を拡大する(?)草食系男子とED(勃起不全、勃起障害)との関係を探ってみましょう。
「繁殖」に対する興味薄いのが原因?
パーソナル化された生活様式が草食系男子を生む?
その特性に対しては「女性に対して優しい」という前向きな評価と「男らしさに欠ける」という後ろ向きの評価とに分かれています。
総合研究大学院大学の長谷川眞理子教授は、草食系男子が出現するメカニズムを「繁殖に興味が薄い」⇒「繁殖をめぐる雄同士の闘争が減る」⇒「闘争心や葛藤が減る」⇒「セックスの要求も減る」⇒「優しい男」(草食系男子)――と分析しています。
その背景には、個室(子供部屋)を与えられ、パソコンや携帯電話が普及する時代に育ち、極度にパーソナル化された彼らの生活様式が深く関係しているといわれます。
セックスを面倒と思う20代男性は3割
こうして増え続ける草食系男子の草食系男子たる特徴は、特にセックスに対する意識に強く現れているようです。例えば、医療系大手広告代理店が06年に行った「現代男性の性生活を中心としたライフスタイルに関する実態調査」によると、20代男性の約3割がセックスを「単なる習慣・義務・面倒くさい」と捉えています。
また、国立社会保障・人口問題研究所が05年に行った「第13回出生動向基本調査」によると、未婚者で性経験のない男性は20~24歳で33.6%、25~29歳で23.2%、30~34歳で24.3%でした。全体では、約3割が未経験です。
さらに、厚生労働省の「薬事工業生産動態統計」(08年)によると、コンドームの国内出荷数は1999年以降、連続して前年を下回っています。4年連続して前年比を上回ったバブル期とは対照的。主力ユーザーである若い層のセックス回数の減少と関係があるようです。
手の届くところの果実に手を出さない
恋愛やセックスに無縁ではないのに、積極的でもない
草食系男子のセックス感は「恋愛やセックスに縁がないわけではないのに、積極的でもない」という点に端的に示されています。いわば、手の届くところに果実があるのに手を出さないのです。
このような環境下で増えてきたのが、経験の少ない男性(童貞も含む)と経験豊富な女性とが出会ってすぐに結婚し、新婚旅行先で陥りがちな「新婚ED」です。最悪の場合「成田離婚」を迎えるほど深刻な心因性EDです。
EDがセックスレスを招くことも
こうしたことから、草食系男子はEDになりやすいという傾向はあると思います。その理由は草食系男子の性欲が希薄だからです。性欲こそはセックスをしたいという欲求の原動力で、性欲が希薄なのに旺盛な勃起力があるということはありません。性欲が弱ければ勃起も弱いのが当然なのです。ガイドは多くのED患者さんの悩みに耳を傾けてきましたが、欲情しない相手、つまり性欲を感じない相手に対してEDになるという悩みは少なくありません。欲情しない相手と性行為をしなければならない状況は間々あることですが、それで勃起が続かないのは至極当たり前のことでしょう。
ED経験のある方は、その時の自分は心底性欲に溢れていたかと自問自答してほしいと思います。大してセックスしたくもないのに、していたと思い当たる方は少なくないはずです。
草食系男子に限らず、ふだん、ほとんどセックスをしない生活を送っている人は、挿入のための勃起をする必要がありません。だからといって「セックスレスの人にEDは無関係」と考えるのは間違いです。
EDは単に勃起しにくい病気ではなく、陰茎の動脈が硬化することによる生活習慣病という面を併せ持っているからです。つまり「セックスレスだから、EDでも構わない」という考えは危険なのです。
人によっては、ひそかに自覚したEDをパートナーに悟られまいとするあまり、セックスレスとなる場合もあるでしょう。このようなケースには、勃起改善ができるED治療薬が効果的です。
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