動物にとってSEXは生殖や種の保存を目的とした本能的な行為です。これに対して人間は子孫を生み育てる以外にも、性欲を満たす、精神的な安らぎや快感を得るなど、生殖以外の目的でSEXを行います。生きていく上で、どれも同じように大きな重みを担っています。

ところが、本来の目的であった「子作り」を意識したり、出産に立ち会ったりすることでED(勃起障害・勃起不全)に陥ってしまう男性も少なくありません。なぜなのでしょう?

人間のSEXは生殖+コミュニケーション

SEXでコミュニケーションを深めるのは人間だけ

SEXでコミュニケーションを深めるのは人間だけ

地球上の生物の中でも、哺乳類のオスは最も高度で精巧な勃起のメカニズムを備えているといわれています。

多くの動物の性行為が生殖と種の保存のための本能的行為であるのに対し、人間の性行為はそれに「愛情表現」としてのコミュニケーションの意味を含んでいます。その全身的なコミュニケーション手段を使ってお互いの愛情を確かめ合うのに必要不可欠なのが正常な勃起です。

勃起のメカニズムを利用して「愛情表現」をアピールし、相手と一緒に楽しむ精神的な満足感にまで高めているのは人間だけです。その延長線上に、勃起に狙いを定めた男性向けの風俗ビジネスや社会の仕組みがあるのも事実。こうした環境を利用して「性=生の喜び」を謳歌する男性は少なくありません。

一方、人間のSEXが生殖と種の保存以外の領域で充実度を高めている中で、肝心の「子作り」のためのSEXを重荷と考える男性も近年、増えてきました。

義務感が重くのしかかる「排卵日ED」 

ガイドのクリニックには「子供を作らなければならないという義務感を抱いたとたんに勃起しなくなった」「きょうは排卵日と妻に言われただけで萎えてしまう」といった悩みを打ち明ける患者さんが来院します。

特に、子供が欲しいという気持ちが募るあまり、それだけを目的として女性が排卵日に求めるようになったりすると萎えてしまう男性は多いようです。

いずれも「なんとか妊娠を成功させたい」という気持ちがプレッシャーとなり強いストレスがかかることで起こる心因性の「排卵日ED」の典型です。

出産に立ち会って萎えることも 

出産立ち会いで起きるEDは一時的なことが多い

出産立ち会いで起きるEDは一時的なことが多い

「出産に立ち会ってから勃起しなくなった」という相談が寄せられることもあります。

ガイドも医学生のころ、産婦人科の実習でお産に立ち会い、ショックを受けた経験があります。1週間くらいでしたが、まったく性欲がなくなり、ED状態になりました。
しかし、産婦人科のドクターは毎日のように立ち会っていますが、それで一生EDになるわけではありません。

一般男性の場合には、出産の持つ野生的なイメージや生々しい母性のイメージが強く印象に残ることで、妻が自分にとっての性の対象から離れてしまうことが作用すると考えられます。しかし、一時的なものですから、時間が解決してくれるでしょう。

立ち会いによるEDではなく、出産前後にSEXを中断したまま、育児にかかりきりの妻から断られ続けているうちに再開のタイミングを失い、SEXにつまづくこともあります。

男性不妊原因の2割がED!? 

子作りとEDをめぐる関係で深刻なのはEDが男性不妊の原因になる場合があることです。子供が欲しいのにできない若いカップルにとっては見過ごすことができない問題です。

ある調査によると、男性不妊の原因で最も多いのは精子を作る機能が障害される「特発性造精機能障害」で、全体の47.3%を占めます。以下「精索静脈瘤」23.9%、「ED」20.7%、「閉塞性無精子症」3.6%、「その他」4.5%――と続きます。
つまり、男性不妊の5人に1人はEDを原因としているのです。

前項までに取り上げた「子作り」や「出産立ち会い」によるストレスが引き金となっている場合もあります。いずれも精神的な作用によるものですから、専門医の指導によるバイアグラ等のED治療薬の服用が有効です。

>>ED治療薬を使っても子作りには悪影響はない?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。