冬季の日照量不足を補うために人工光を照射する「光療法」は、冬季うつ病の治療法として有効
冬季うつ病の治療法についてわかりやすく解説しましょう。
光療法による冬季うつ病治療
冬季うつ病の原因が秋から冬にかけての短い日照時間にあるため、人工光を照射し日照量を補って症状を改善させる治療法が有効です。太陽が昇っている昼間と沈んでいる夜間という自然のリズムは、活発に活動する昼間と、心身を休ませる夜間という生体リズムの大元。太陽光には眠気を催すホルモンであるメラトニン産生を抑制する作用と、気分を良くする働きのあるセロトニン産生を増加させる作用があります。
自然の日照量が減る分、人工光を照射する光療法を行うことで生体リズムが整えられ、冬季うつ病の症状を軽減させることができるのです。
薬物療法、心理療法による冬季うつ病治療
冬季うつ病の症状自体は、基本的にうつ病と同様。一般的治療法である抗うつ薬による薬物療法と、認知行動療法などの心理療法も冬季うつ病の症状軽減に効果があります。また冬季うつ病の場合は、春夏にかけて冬季のうつから回復するだけでなく、反対に気分が良くなり過ぎる「そう状態」になることもあるので注意が必要。自分に自信を持ちすぎるあまりに洞察力が低下し、普通ならしないような判断や失敗をしてしまうなど日常生活に多大な支障が出る恐れもあるので、気分を安定させるためにリチウムなどの薬物療法を行うこともあります。
食生活による冬季うつ病改善法
冬季うつ病は冬季日照時間が顕著に短い北極圏に近い国々で特に多いですが、アイスランドは北極圏に間近であるにもかかわらず、冬季うつ病の発症率が低くなっています。その原因として考えられているのがアイスランドの食生活。アイスランドの食は魚中心で、サバやアジなどの青魚も豊富。青魚の油脂にはDHAなどの抗うつ効果のある物質が多く含まれているため、うつ症状の改善に役立っていると考えられます。冬季うつ病の傾向がある場合は、秋から冬にかけて秋サバのような青魚を摂取することも有効。もちろん他の食品もバランスよく、ほどほどに摂取するのが肝心です。
日常生活でできる冬季うつ病改善法
日照量の少なさが原因で起きる冬季うつ病。日照量に限らず、一日中日の差し込まない部屋で仕事をするなどの生活環境でも、同様の症状が生じるリスクがあります。自分の生活環境がこれに当てはまると考えられる人は、心の健康のためにも、外で過ごす時間を増やすよう心がけましょう。■関連記事
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