年間5000~6000人が感染するアタマジラミとは
頭しらみがわく理由とは
衛生環境がよくなり発症数が減少したものの、現在でも年間5000~6000人が感染する頭しらみ症(頭じらみ症)。一般的に「アタマジラミ」と言われることが多いので、ここでは「アタマジラミ」という表記に統一し、原因と症状について解説します。
シラミがわいて頭髪に棲みつくアタマジラミ
このような寄生虫であるシラミが髪の毛の中にいるわけです(KINCHO大日本除虫菊株式会社提供)
シラミはもともと「白虫」と書かれていた白色の虫で、エサである動物の血液を吸うと体色が赤く変化します。大きさはオスで2~4mm、メスで2~3mm程度で、動物の毛の部分に棲みつき、血液を吸って成長します。成虫はもちろん幼虫も血を吸い、常にかゆみが出ます。3対の脚の先には発達した爪があります。
シラミの卵の孵化にかかるのは1週間から10日ほどで、卵からですと1ヶ月程度、孵化してから約2週間で成虫になります。各個体の寿命は約1~2ヶ月に過ぎませんが成虫のシラミは1日あたり3~4個の卵を次々と産むため、一度シラミに寄生されるとどんどん増え、自然にいなくなることはほとんどありません。1ヶ月程度である程度の数になります。
アタマジラミの症状
自覚症状がないこともありますが、主な症状は以下の通り。- 頭のかゆみ。特に耳の後ろや後頭部のかゆみが起きる
- 頭のかゆみのために掻いて湿疹が出たり、「とびひ」が出現する
- 髪の毛にフケのようなもの(シラミの卵)が増える
- かゆみのために、イライラ感があったり、寝れない
頭のかゆみがひどい場合は、頭を掻くのが止められず頭皮を傷けてしまうこともあります。シラミの卵はフケと似ているために、フケとの区別する方法は以下の通りです。
- シラミの卵はフケと違って厚みがあります
- シラミの卵は、髪の毛に乗っている感じのフケと違って、髪の毛を取り巻いて付いています
- シラミの卵は、すぐに落ちるフケと違って、髪の毛にしっかりと付いています
- シラミの卵は、根元に付いているフケと違って、根元より先の方に付いています
このような症状などがあった時にはアタマジラミかもしれません。シラミの卵は、耳の後ろや後頭部の髪の毛に多く見られますので、その部分に頑固なフケのようなものがあれば、シラミの卵かもしれません。
アタマジラミの感染経路・わく理由
アタマジラミはヒトからヒトに感染するため、集団発生した場合に1人だけ頭しらみの駆除しても何度も感染を繰り返してしまいます。布団や寝具はもちろん、クシやタオルの共有でも感染するので、家族間や学校などで感染が広がりやすいのも特徴。シラミは髪の毛の長さと性別に関係があり、髪の毛の長い女の子の方が寄生率が高いようです。世界的にも子どもに見られることが多いです。洗髪の習慣やその回数、その国の気候によって差がありますが、その国の経済状況とは関係が少ないため、日本の子どもたちにも見られます。特に小学校低学年までの子どもに多く、保育園のお昼寝で枕を共用することで発生することも少なくありません。一旦発生すると何度も寄生しを繰り返すので、一斉駆除することが大切です。プールや浴場の場合、水中で感染することはありませんが、脱衣場や着替え室でのクシやタオルの共用は避けなければなりません。
子どもの場合、ゲームなどで遊んでいるときに頭同士をくっつけることも危険です。このように集団生活している時には注意が必要と言えます。さらに、無症状の場合も多いので、知らず知らずのうちに、感染を拡大させている可能性があります。
アタマジラミは感染しますが、学校は出席停止にならないので、しっかり自覚して感染拡大を防ぐことが大切です。
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