結核(肺結核)の症状
結核発症時のレントゲン写真。右肺(写真の左上)にある白っぽい曇りが結核菌による異常。
- 咳……数週間以上続く咳
- 痰……血痰が出ることもある
- 発熱……たいてい微熱だが、時に高熱を伴う
症状が出てからさらに時間が経つと、上の呼吸器の症状に加え、以下の症状が出てきます。
- 疲労感……疲れやすくなる
- 体重減少……ダイエットをしてなくても痩せる
結核の原因
結核の原因は、飛沫感染・空気感染する力を持つ「結核菌」。感染者の咳・くしゃみなどの飛沫や、空気中に漂う菌を吸い込むことで、呼吸器から感染します。感染する部位は主に肺なので、一般的に「結核」というと、ほとんどが「肺結核」を指します。脊椎カリエスや結核性腹膜炎などの病気を発症することもありますが、ごく稀です。
結核の感染力・予防法
結核は空気感染するため、非常に強い感染力を持ちます。一人が結核菌に感染して咳などで菌を排出してしまった場合、同じ部屋にいる人のほとんどは結核に感染すると考えてよいでしょう。さらに結核は発症までに数ヶ月から年単位の潜伏期間があるため、結核にかかっていてもすぐに分からない場合が多いです。したがって、日常生活での感染予防は現実的には不可能です。学校などの閉じた空間では集団感染が起きることがあります。集団感染が疑われた場合は、発症を予防するために「抗結核剤」という結核菌に効果がある薬を予防的に服薬。発症前に飲む場合は治療のための服薬と区別して「予防内服」と呼びます。服薬期間は通常6ヶ月です。
ただし、結核を発症する人は感染した人の10人に1人以下。結核菌の保持者と同じ空間にいたからといって、結核を発症するのはごく一部なのです。
免疫力が弱まっていると高まる結核発症リスク
結核の発症は、栄養状態、睡眠、ストレスなどが深く関わっています。特に「栄養状態」が悪いと発症のリスクが高くなるため、無理な自己流のダイエットで発症するケースも少なくありません。加齢によって免疫は低下しますが、年を取ったからといって全員が発症するわけではありません。別の病気になって免疫系を落とす治療方法をした場合、結核の発症率が高まることもあります。免疫系の異常を伴う慢性疾患に対し、免疫系を落とす治療を行う時は特に注意が必要です。最近使用が開始された一部の薬剤では、数ヶ月の使用で結核症を発生リスクを増加させてしまうものもあります。
また、AIDSに感染していた場合も結核の感染・発症リスクが高くなります。特に結核や結核の仲間の菌による病気はAIDS患者の死因となることがあり危険。可能な範囲でワクチン予防をするなど注意が必要です。
結核の予防接種「BCG」は乳児に有効
結核に限らず、感染症予防にはワクチンによる予防接種が有効。結核の場合の予防接種は感染自体を予防できるものではなく、感染後の発症を予防したり、発症した場合の重症化を防ぐ目的で使われます。結核に用いられるワクチンは「BCG」ですが、発症予防の効果については実際のところ意見が別れています。しかし、小児の結核重症化に対しては一定の効果があるという見解です。日本では2005年4月から、生後6ヶ月までの乳児に対して予防接種を実施することになっています。
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